私は日本で生活する事40年以上。
そのうち半分弱が関西圏、そして半分あまりが関東圏、そしてアメリカに2年と少し・・・
日本の常識・非常識は一応理解しているつもり。
そのうえでアメリカに住んで、こちらの人たちの常識や考え方がなんとなく理解できるようになってきた頃・・・
日本から出張で来た純日本人みたいな人が言った一言にちょっとムッと来た。
まあ、その人は悪気なく、一般的な日本人が持っているアメリカ人の認識をただなんとなく口に出しただけなのだろう。
その言葉とは「アメリカ人ってなんでも訴訟して訴えて賠償させるんでしょ?」というような内容だったと思う。
まあ、たいがい日本人がアメリカ人に持っている共通イメージって、この「なんでも訴訟する」というのと「ごめんなさい」と謝らないだと思います。
でも、日本人が持っているちょっと悪意のあるこのイメージは完全に間違いです。
歩道を歩いていて、たまたま人とぶつかりそうになった時でも、どんなにイカツイ強面のアメリカ人でも”Sorry”と言ってくれます。
しかも、ニューヨークのマンハッタンのど真ん中、これ以上の繁華街は無いというところに2年間住んでいても、本当に歩いていて人とぶつかったのは2回ほどしか有りません。
日本に一時帰国して2週間も暮していれば2度ぐらいは人にぶつかられます。
日本のニュースでは時々「肩がぶつかったと言い争いになり・・・」というような傷害事件の報道があり、その時のたいがいのコメンテイターやアナウンサーの口調では「肩がぶつかったというぐらいの些細な事で」というような言い方をします。
でも、私に言わせれば歩いていて人とぶつかるというのは失礼極まり無い行為であって、特に今時の日本人は自分が先に行きたいからとか、自分が行く方向と人の流れが違うからといって強引にわざとぶつかりながら歩いている人すら見かけます。
これ、世界的なマナーからすると非常に失礼です。
アメリカで、もしそういう人が生活したなら、きっと命がいくつあっても足りないでしょう。
アメリカでは特にパーソナルを尊重します。
自分自身の事は勿論の事、周りにいる人のパーソナルも同様に尊重しなければならないという意識が強いです。
そんなところに見るからに自己中心的な、人にぶつかって歩く日本人を放流したら、まず3日持たずに撃たれると思います。
それから、なんでも訴訟するという日本人が持つ認識にもかなり疑問です。
電子レンジで猫を乾かそうとして、電子レンジメーカーが訴えられたとか、コーヒーショップでコーヒーをこぼして火傷したお客がコーヒーショップを訴えたとか、そういう仰天訴訟のニュースは私も知っています。
それだけを挙げて訴訟大国というならイメージは合っていますが、多くの日本人はその言葉だけを理解して、「アメリカ人は何でもかんでも人のせいにする」みたいな認識を持っていそうですが、それは完全に間違いです。
私に言わせれば日本人の方が100倍ぐらい何でもかんでも他人のせいにすると思います。
こちらでは、回転ドアがまだまだ一般的です。
まあ、冬はマイナス20度の寒さになる地域なので、建物の扉は2重になっていたりして暖房効率が下がらないような工夫が必要です。
だから、室内の空気が人の出入りでも逃げにくい回転ドアが必要なのでしょうが、もし日本にこれほどの回転ドアが有れば、きっと年間何人もの人が怪我をしたり、場合によっては死亡したりして事故が起きているでしょう。
そして日本だったら、きっと事故にあった被害者やその家族が、回転ドアを設置しているビルや会社を相手取って訴えられる事でしょう。
当然アメリカでもまったく事故が起こっていないはずはありません。
でも、回転ドアで怪我をしたからといって訴訟をしているなんて事は聞いたことがありません。
なぜなら、そこには回転ドアが有って挟まると危険であることが初めから分かっていて使用しているから。
そう、こちらでは日本と違ってすべての”他人の責任”の前に”自己責任”が存在するのです。
小さな子供の様に、自己責任が自分で判断できない場合は、その親に子供の安全を守る責任があります。
家の外に一歩出るといろいろな危険が存在します。
家の中ですらそうです。
この前日本のニュースで、ドラム式の洗濯機に子供が入り込んで遊んでいるうちに洗濯機のドアが閉まり、その結果窒息か何かで子供が亡くなったというニュースを放送していました。
アナウンサーはあたかも洗濯機メーカーに落ち度が有るような印象を持たせるかのごとく「洗濯機のドアは一度閉めると中からは開かない構造になっており」って・・・
なんでそんな当たり前の事をコメントするのか理解不能。
そのうちお風呂場の湯船に子供が落ちて溺死したりした場合も、「子供が湯船に落ちた場合に水が自動で抜ける構造にはなっておらず」ってコメントするんでしょうか?
また、アメリカでは(というかきっと日本以外では)人が作ったものは壊れたり故障したりするのは当たり前という認識です。
だから、電車でも信号故障、車両故障で止まったり遅れたりすることに、日本人ほど目くじら立てて怒ったりしません。
日本では雪でダイヤが乱れただけで、大混乱して駅員に怒鳴りかかっている人をちらほら見かけますが、こちらでそんな態度を取ったら駅員に「雪が降ったのは俺のせいじゃないから知ったこっちゃないね」って言われて終わりです。
そもそも、駅に日本の様に駅員がたくさん居たりしません。
だいたいホームは無人。
改札の前にこの様に完全ガードされた小屋でマイク越しに対応するだけです。
なので鉄道の迂回路先だっていちいち駅員に教えてもらわなくても、お年寄りの人でも自力で解決します。
もし、どうしても分からないお年寄りなんかには、近くの人がどこへ行きたいか聞いて迂回する路線を教えてあげたりして助け合って解決します。
大雪で交通がマヒしてしまいそうな時。
日本なら会社に泊まり込んででも翌日の業務を通常通り行おうとします。
特に銀行や役所関係の公共性の高い所では重要です。
アメリカでは大雪で交通がマヒしそうな時、営業時間が終了していなくとも、銀行の支店が独自の判断で勝手に店じまいをして、入口の張り紙には「雪で電車が止まったらスタッフみんなが家に帰れなくなるので、今日は営業時間を切り上げて閉店しました」なんて書いてあったりします。
でも、それで誰も文句を言ったりしません。
ただ、仕方ないなぁって感じです。
September elevenのアメリカ同時多発テロの時にJ.Fケネディー空港で勤務していたという知人の話でも、当時数日間はマンハッタン近郊の空港は閉鎖になって一切の飛行機の離着陸が禁止となっていたのに、そういうときに空港まで来て空港職員に「飛行機に乗せろ・飛行機を飛ばせ」と食って掛かってるのはたいがい日本人だったとか・・・
賢い欧米人は長距離バスや陸路の鉄道で近くの稼働している空港まで移動して、そこから飛行機に乗る手配をさっさとしているか、もしくは仕方がないと思ってホテルに滞在したり、なんとか自分でしのいでいるのに、日本人だけは誰かを捕まえて食って掛かる・・・そんなことしても飛行機は飛びはしないのに・・
ほんと、そういう目で見ると日本人って何でもかんでも誰かのせいにして、故障や他人の失敗についてはとことんまで攻撃して、自分に何か被害があったものなら必ず誰かに責任を取らせないと気が済まない。
ここ10年来日本人ってそんな民族になりつつあるような気がします。
そして、それに伴って、自己責任を棚に上げて責任転嫁されても困る、メーカーや行政や、鉄道会社はあれやっちゃダメ、これやっちゃダメ・・・
そうでも言ってルールを作っておかないとすぐに責任転嫁されるから・・
これは1月に日本に帰国してすぐに乗った路線バスの注意書き。
これこそ自己責任です。
バスに乗ったらバスは発車します。
走ったら止まります、曲がります。
当然揺れます。
当たり前です。
でも、日本ではこのぐらい書いておかなければ、動いているバスの中で揺れによって倒れて怪我をしたとバス会社が訴えられるのでしょう。
いつから日本人はこんなにバカになってしまったのでしょう?
気が付くと駅をはじめ、あちこちに張り紙だらけです。
あれはやっちゃダメ、これは禁止、こうしてください、ああしてください。
茨城に早乙女温泉という日帰り温泉があって、そこに入ると「館内は全館禁煙です、この機会に禁煙なさっては?」とか「刺青のある方は入浴禁止です、見つかって注意されていやな気分にならないよう、刺青の方は入らないでください」というようなちょっと嫌味の効いた張り紙だらけで、別名張り紙温泉と呼ばれていたのですが、気が付くと日本中張り紙だらけです。
オリンピックで外国人がこれから沢山来日する事でしょう。。
そんな時に、外国のガイドブックで「日本は(馬鹿げた)張り紙だらけ、あなたも日本の張り紙を見て楽しみましょう」なんて書かれないように、自己責任と、誰かの決めたルールを押し付けで守るというマナーではなく、考えや習慣が違う人たちの中でどうすればみんなが気持ちよく過ごせるのかを考えた自主的マナー、そして自己の尊重と同じく他人の尊重をバランスよく身に着けている民族に成れれば良いですが・・・
きっと無理ですね。
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