よしを’S質問箱(Deep編)
分類 @@#CO2#@@
Q1003.CO2とエアレーション
【おいかわさんからの質問】
  1. エアレーションをした水槽としない水槽では、エアレーションをした方がCO2濃度が高くなるか。
  2. 自然界のCO2濃度とエアレーションによる濃度は、同じようなものと考えられないか。
  3. CO2の添加は、急速に成長を促進したい時や、特にCO2を必要な植物に対して必要と考えて良いのではないか。
 CO2は、エアレーションにより、放出される。
しかし、エアレーションは、植物や魚がバクテリアが健康に行きつづけるために大変重要なものです。
エアレーションは、空気を送るものであり、空気の中には、当然、CO2も含まれているはずです。(割合は酸素よりも多い。)
 自然界の中でも、水の攪拌により二酸化酸素が溶け込んでいる筈ですので、通常の水草であれば、エアレーションで十分なはずなのです。そう考えていくと、特に二酸化炭素を必要とするものは別として、通常の水草は、エアレーションで十分だと言う理論になると思うのですが。エアレーションをしないよりは、ずっと二酸化炭素の溶解率は、高いと思うのですが。
教えて下さい。
確かにCO2を添加すると植物の生長は格段に良くなりますが、水草の生長を急速に行うために必要と考えて良いのでしょうか。

A1003.CO2と水草
この質問内容に関して、ほぼ同じ内容の物が過去のQ&Aにあります「アクアリスト千の悩み」のこちら
本来ならDeepなQ&Aとしては過去のQ&Aに存在する質問は採用しないのですが、過去のこの様な質問は1回限りですし、話題としては再度取り上げても良いぐらいのDeepな内容なので、今回は採用することとします。

1.エアレーションすることでCO2濃度は上がるか?
止水状態の水槽に水草を入れて光をあてると水草が溶存二酸化炭素を消費します、CO2は空気中に存在し非常に水に溶けやすい性質を持っていますので、エアレーションして空気を水に触れさせるとCO2はある濃度までは溶け込むので、水草の消費によって溶存二酸化炭素濃度が下がってしまっている状態ならCO2濃度を上げる方向に作用すると予想されます。
2.自然界では?
流れたり滝に落ちたり瀬で波立ったりという事だけを前提にすると、それは止水である水槽にエアレーションを行っているのと同じと言えますが、自然界には動物やバクテリアなど二酸化炭素を供給する要素は水槽と比べ物にならないぐらい存在すると思われます。
また地下水などの場合は地下で受ける圧力によってCO2が高濃度に溶け込んでいるような場合も有ります。
温泉の種類に「炭酸泉」と有りますが、それは炭酸ガスが沢山溶け込んだ温泉であることからも分かります。
3.CO2の添加は水草の生長を急速に促進したいから?
最後に総合的に書きますと
自然界では2の状況のように水槽水にエアレーションよりもCO2濃度が高い環境も有るだろうとは想像できますが、それは比較的特殊なことで多くの場合はエアレーション程度の溶存濃度だと言えるでしょう。
水草は水槽で育成される場合、自然界とは比べ物にならないぐらい劣悪な環境におかれます。
根を張る範囲や深さは制限され、本来土のような土壌に育つ草でも砂利に植え込まれる。
光はお天道様の何十分の1のエネルギーしかない蛍光灯で弱々と照射され、水は魚の餌や糞で汚れた水が循環している。
水草は水槽ではその様にありとあらゆるハンデを背負わされて育てられます。
よってそのままでは上手く育たない事が多いんですね。
その為にそれらをカバーして有り余る何らかのアドバンテージを与えてやれば、育ちにくい水草でもある程度水槽の環境を我慢して育ってくれるかもしれない。
そのアドバンテージを与える最も良い方法がCO2添加なんだと思います。
ですから急速に育てたいからではなく、育たなくなってしまうのを防いで普通に育つように成ってもらう、と言うのがCO2添加の狙いだと思います。
よって水草のことがよく分からず、色々な水草を手当たり次第に水槽に入れてみて、それでも多くの水草を枯らせることなく上手く育ててみたいと思うような人には、非常に手助けになる方法だと思います。
  • 2002/06/10.11 Tk-One さんよりご意見情報投稿
    たしか光合成量とは、光合成量=光量×二酸化炭素濃度×係数 だったと思います。
    水槽のような光量が足りない環境では光合成量を増やすために二酸化炭素濃度を上げるのは有効ってことです。
    (温度が一定なら、という条件付き。たぶん。 ついでに限界光量、限界CO2濃度の範囲内って言う条件も合ったと思います。)
    *うる覚えですのでどこかでもう一度ちゃんと調べてみます。
との事です。
調べてみて新しい情報が有ればまたご連絡下さい。
Tk-Oneさん、以外でもその辺に詳しい方情報をお待ちしております。
  • 2002/06/24 匿名希望 さんよりご意見情報投稿

    高校生物の教科書では「光合成速度は、光が不足する条件ではCO2濃度や温度に依存しない」というBlackmanの説(限定要因説)が載っていますが、これは正しくなく、実際の光合成はCO2濃度や温度に依存した応答を示します。つまり、光が不足する条件下であってもCO2濃度が高くなれば、光合成速度もある程度は高くなるということです。
    もちろん、CO2濃度が飽和するまでですが。
    また光が充分な時と比べると光合成速度は低いでしょうが。
    Deepの方の「Q1003.CO2とエアレーション」に対するTk-Oneさんの意見

    「たしか光合成量とは、光合成量=光量×二酸化炭素濃度×係数 だったと思います。水槽のような光量が足りない環境では光合成量を増やすために二酸化炭素濃度を上げるのは有効ってことです。」

    が概念的には正しいと思います。
    (肥料については、その時の光合成速度や温度によって吸収速度が異なります。よって「光が不足するといくら肥料があっても育たない」というのは正しいと思います。)

     さて水草の場合、水中の少ないCO2を獲得するために、CO2を体内で濃縮する機構(細胞膜のプロトン勾配を用いてHCO3-を取り込み、細胞内でHCO3-をCO2に変換する機構)を持っているそうです。
    これにより植物体内のCO2を高く保つことができるので、CO2添加は必要ない??と考えることも出来ます。
    しかし、CO2の濃縮にはエネルギー(ATP:この場合主に光のエネルギーにより生産される)を消費するので、せっかく獲得した光のエネルギーの無駄な消費を抑える意味でCO2添加は有効であると考えられます。
    ということで、CO2が過剰だと水槽内で不足しがちな光のエネルギーを効率よく利用できるという点でCO2添加は有効であると思われます。
    ・・・これはよしをさんがおっしゃっている「・・・その為にそれらをカバーして有り余る何らかのアドバンテージを与えてやれば、育ちにくい水草でもある程度水槽の環境を我慢して育ってくれるかもしれない。」というのと結局同じ結論なんですが、ちょっとだけ理論的に説明したということでお許しください・・・

     ここで述べた理論は実験的に検証したわけではありません。しかし、光合成のモデルが、水草と地上植物で根本的に大きく違わなければ、正しいと思います。
    藻類と(地上)高等植物で光合成のモデルの基本は共通ですので、おそらく水草(水生高等植物)でも正しいと思います。

     ちなみに先に述べました「細胞内でHCO3-をCO2に変換する」機構で働く酵素(カーボニックアンヒドラーゼ)の活性は植物種により差が大きいそうですので、水草によって異なるCO2添加の要不要はこの酵素活性によって決まるのかな?
    などと勝手に考えております。

と匿名希望 さんより大学院でイネの光合成を研究テーマとされているということから
「地上の植物と水草と大きく違う点も多いので、地上の知識は当てにならないかも しれませんが『植物の光合成』という基本概念は共通であると思いますので、何 か少しでもお役に立てればと思いコメントさせていただきます。 」という形でご意見頂きました。

また「アクアリスト千の悩み」の「Q6.水草水槽へのCo2強制添加の本当の意味?」の中の私の回答で「水草の成長の為の3つの要素は光・co2・肥料(代表は窒素/リン酸/カリ)だと思いますが、これは間違いないでしょうね。この三要素のうち光がないと、いくらco2・肥料があっても、草はそだちません。Co2を過剰に与えても、光が少なければ植物はそれを光合成に利用できないわ けです。 」の記述は正しくない旨ご指摘頂きました。
確かに本回答の内容と矛盾する点も有りますので本回答にて訂正させて頂きます。
  • 2003/09/29 D.K.C(-_-x)さんよりご意見情報投稿

    私も、おいかわさんの2番のような疑問「自然界のCO2濃度とエアレーションによる濃度は、同じようなものと考えられないか。」を持っていたので、読ませて頂きましたが、あまりすっきりとは納得できません。二酸化炭素を添加しなければ枯れてしまうとされる水草は、自然界では、そういう高濃度の二酸化炭素存在下に生えているのか?と考えると、そうとは言い切れないと思うからです。

    それと、ブラックマンの限定要因説と、光合成量=光量×二酸化炭素濃度×係数 という式とは別に矛盾するわけでもなんでもないと思うのですがいかがでしょうか?
    すなわち、何にせよ、ここに示されている要因は、無限に強めれば無限に光合成量が増加するのではなく、どこかで飽和する値がでるわけです。限定要因説は、たとえば、二酸化炭素濃度(というか、分圧)の飽和点は、光量に依存すると言っているに過ぎないのでは?漠然と、光が強い、弱いという(いわば定性的な)見方により、光が弱いのだから既に二酸化炭素分圧としては飽和しているというのが限定要因説から導かれる結論(もちろん、この考え方は誤り)だとして、実際は二酸化炭素分圧を上昇させると光合成量は増えているようだから、ブラックマンの説は誤りというのは、ちょっと彼が可哀想ではないでしょうかね。

    また、匿名希望さんの書いた「光合成速度は、光が不足する条件ではCO2濃度や温度に依存しない」を高校ではブラックマンの説であると説いているのであれば、それは、ウソを教えています。つまり、ブラックマンの説は、そんな内容ではありません。

    一方、よしをさんが訂正したいとする、「Co2を過剰に与えても、光が少なければ植物はそれを光合成に利用できないわ けです。」のくだりですが、このこと自体は、誤りではありません。過剰に与えるとは、飽和点以上に与えるという意味ですからね。でも、果たして、その水槽内の二酸化炭素分圧が飽和点以上であることが、事前に判っているアクアリストはいるでしょうか。私はいないと思います。

    さて、話はもどって、冒頭の疑問への今現在の私の考えです。我々が、水草として扱っている植物には、いろいろな環境で育っているものが混ざっています。あまりに多くの植物が、水草として市場に出回っていますが、これら全てが長期に亘って水中に生えているものばかりとは限りませんよね。とすれば、自然界にある水中の二酸化炭素分圧がそんなに高いはずがない、という疑問はナンセンスだなぁ、と今は考えています。リシアなんて典型例だと思います。


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