水槽を設置すると言うことはそれなりに危険が伴います。
残念なことに現在ショップやアクア雑誌などでは、水槽の安全性に対してきちんと指導しているケースはそれほど多くないようです。
(まあ、水槽を買いに来たお客に「火災や感電の危険性がありますので〜」なんて言ったら買いに来た人が買わずに帰ってしまいますからねぇ、だからそういったことをきちんと説明しないのでしょう。)
水槽というのは水・電気・ヒーターという3つの物を同じ場所で取り扱います、浴槽につかりながらドライヤーなどの電気製品を使うことは非常に危険でだれもそんなことはしませんが、水槽まわりの電気製品は意外とそういった漏電や感電といった危険性を認識されずに取り扱われているのではないかと思います。
そういったこと全般を十分に理解して正しい認識を持ちきちんと対処する事が最も大切だと思います。
ということで、ここでは特に安全性と言うことに重点を置いて水槽を設置することについて解説していきます。
初めにお断りしておきますが、ここではより水槽を安全に設置するための知識を紹介しているに過ぎません、こういった対策をしたからと言って完全に危険性は無くなるわけではありませんし、その効果を私が保証しているわけでもありません。
また、対策の仕方を誤ると逆に危険性を増したりする可能性も有ります。
これらの対策については設置者の責任で行って下さい。
まず、水槽を設置するにあたってはその設置場所を十分に検討する必要があります。
水槽というのはそれなりの重量が有ります。
目安の重量としては60cm水槽で台や濾過器など全て含めると50〜70kg、90cm水槽で220〜250kg、120cm水槽で300kg以上です、これも標準サイズより奥行きや水深がある水槽ではさらに重くなります。
まず設置場所としてはそういった重量に十分耐えられる場所となります。
木造の古い家屋では300kgもの重量をかけると床が傾いたり扉が閉まらなくなったりと色々と問題が発生する場合があります。
そういった事を十分に理解して、部屋の壁に近い場所や部屋の角、床に骨が通っている場所などを選べば良いでしょう。
強度的な問題がクリアできれば、その他には換水の事を考えると水場の近くが便利です。
冬場の冷え込みのことを考えると窓の前などは避けた方が良いです、それに日光が水槽にあたると苔が発生したりしますから日光が差し込む範囲は出来るだけ避けた方が良いです。
水槽を置いたために「この部屋の雨戸は常時閉めておくように」なんて言ったら家人に叱られますので・・
また設置場所はなるべく水平である場所が好ましいです。
古い木造建築の家屋などでは以外と部屋の中心に向かって床が傾斜していたりするので気を付けて下さい。
それから部屋の出入り口付近は鉄骨の建物でも人が通った時に水槽が揺れる場合も多いようです。
水槽が揺れても別段支障はないですが、人が通ると水槽の水が波打つのが気になるような人はそういった場所も避けた方が良いでしょう。
一旦設置したらそうそう簡単に移動できるものではないので慎重に設置場所を決める必要があります。
最後に地震と水槽の設置についてです。
大きな家具などでは天井から突っ張り棒で押さえたり壁に金具で固定したりするのが地震対策として一般的ですが、水槽の場合はどうでしょうか?
まず形状から考えて天井から突っ張り棒を延ばすのは不可能です。
では壁に金具で固定はどうでしょうか?
先の重量のことを考えると60cm水槽程度がせいぜいで、それ以上の大型水槽になるとちょっとやそっとの金具では固定できませんし、かりに固定できたとしてもそんな重量が壁に掛かったら地震の時に壁ごと抜けてしまうんじゃないでしょうか?
もしかりに固定できたとしてもそれは水槽台のみでありその上の水槽を固定する手だては現在の構造の水槽及び水槽台では存在しません。
ということで、地震に備えて水槽及び水槽台に講じる手だては何も無いと言うのが現実です。
阪神大震災の実績を聞くところによると(家が完全に倒壊するような場合を除いて)大型水槽では120cm水槽が台ごと1m移動したという話をはじめとして、以外と転倒していないという事です。
とはいえ、万が一転倒すればひとたまりもありませんから寝室などには置かないとか、地震の時には水槽の前から離れる等の用心は必要だと思います。
60cm水槽などはキャスターのあるフレームに水槽台ごと乗せて、地震の時には揺れに応じて動くようにするという、免震構造にしておくと言った対策も聞いたことがありますが、はたして効果があるのかどうかは分かりません。
先にあげたように水槽は相当な重量があります、そのことを十分に理解して水槽台を決める必要があります。
60cm水槽などは玄関の下駄箱の上に置かれていたり、リビングのカラーボックスに乗っていたりしますが、それらは元々水槽を置くようには設計されていません。
特に廉価な物ほど素材がベニヤ板を張り合わせたようなもので出来ているため、水をこぼしたりすると水分を吸収してべこべこに成って強度が無くなる物が多いです。
最近は60cm水槽用ならホームセンターやアクアショップで比較的安く水槽専用の台を販売していますから、是非ともそういった専用の物を使うようにして下さい。
90cm水槽以上の大型の物になると専用の水槽台はそれなりの金額がします。
特にインテリア性に優れた物はかなりの高額になる場合も少なくないです。
経済的に余裕があれば是非ともそういった物を使いたいですが、なるべく安くするには水槽用の鉄のアングル台が丈夫で安いです。
水槽用のアングル台は水槽を販売しているちょっと大きなアクアショップに行けば取り扱っていたりします、あまり展示品は見かけたことがないので相談してみるのが良いでしょう。
120cm用で3〜4万円もあれば手に入ると思います。
少し日曜大工をして全体を綺麗な化粧板で覆い隠せば無骨な感じもかなりカバーできます。
組立式の物はショップで陳列されている物をよくチェックして下さい。
前後左右に押してみてぐらぐらするような物は避けましょう。
組立式の物は水平垂直が不確実な場合が多く、組み立てる人の技量がかなり良くなければ全体的に歪んで組み立てられたりしますので、大型水槽の場合は特に注意して下さい。
組立式の水槽台の場合は必ず付属する全てのパーツをとりつけてください。
特に真ん中にある仕切板や背面のパネルなど、水槽ラックの中に設置する濾過器やボンベを置く都合や配管の都合によって取り付けずに組み立ててしまう場合もあるようですが、それらは単なる仕切や壁でなく強度を確保するために必要なパーツである場合が多いからです。
上の画像は組立式水槽台に補強プレートを追加して取り付けているものです。
場合によってはこの様な補強を入れるのも有効ではないかと思います。
水槽台及び水槽を設置するときには特に慎重に水平を調節します。
水槽台に水槽を設置して水槽の中に1cmほど水を張ればどちらに傾いているかが分かります。
下がっている方の水槽台の下に折り曲げた紙や段ボールを挟んで水平に成るように調節します。
大型水槽になればなるほど、難しくなるのが歪みやゆがみです。
たとえば水槽台の水槽を置く面のある一点だけが他の部分より高くなっていたら・・・・
両端より真ん中が窪んでいたり逆に盛り上がっていたり、場合によっては全体的にねじれが発生するような事も有るでしょう。
そういったところに水槽を置いて中に何百キロもの水を張ると特定の部分に荷重がかかり、何のショックも与えていないにも関わらず自然に水槽が割れたりするといった事故につながります。
大型水槽の場合(特にガラス水槽)は設置した後水槽と水槽台の間を目を皿にしてチェックし、かみそりの刃1枚も通さないほど、全面が密着している事を確かめた方が良いでしょう。
もちろん水槽の水平を調節するために紙や段ボールで詰め物をするのは水槽台と床の間にします、間違っても水槽と水槽台のあいだに詰め物をしてはいけません、台と水槽の間に詰め物をすると水槽の一部分に力が掛かったり水槽全体がねじれたりするからです。
最後に、水槽本体と水槽台、水槽台と床はなるべく荷重が特定の部分に掛からないように全面でお互いが接地するようにした方が良いです、点よりも面で重さを分散するように接地します。
現在のところ水槽の素材にはガラスとアクリルが存在しますが、どちらにしてもまれに接合部の不良による障害が発生しています。
購入時には信用できるショップで相談し信頼出来るメーカーの物を購入した方が良いでしょう。
ガラスもアクリルも水量によって使用されている板の厚みが変わります。
特に気にしなければ標準で採用されている厚みで問題無いと思います。
アクリルはどんなに丁寧に扱っても傷がついてしまうので5年も使えば観賞上問題が出てきます。
ガラスは傷がつき難く材質によっては透明度も高く観賞上好ましいのですが、どうしても割れるという危険性を伴います。
アクリル水槽の場合は接合部がはがれたりする現象以外には板が割れるという事故は有りません。
コンコンと音がするので見てみたら子供が乾電池を握りしめて水槽を叩いていたという笑い話のようなゾッとする話も聞いたことが有りますので、そういったことを考えると安全性ではアクリル水槽のほうが好ましいと思います。
うちには子供は居ないから大丈夫と思っている貴方も、ガラス水槽は内側からの衝撃には非常に弱くレイアウト変更などで流木やレイアウト用の石をほんの少しぶつけただけでガラスが割れたという事故も起きていますので、その点は十分に理解しておく必要があります。
地震の時にはちょっとした揺れでも水槽の中の水は大きく波打ちます。
前後方向にはそれほど距離がないので大きな波は発生しにくいですが、水槽の左右方向にはちょっとした地震でも10cmや20cmの波が簡単に発生します。
ガラス蓋をしていない上部開放型水槽で水槽の縁に返りがない最近流行のプールタイプと呼ばれる水槽はこういった波でバケツ一杯分ぐらいの水は簡単にこぼれますので注意が必要です。
水槽のまわりはとかく電気製品が多くなります。
最低限でも照明に濾過装置ヒーターと三つのコンセントが必要です。
ちょっとした装備を調えている水槽だと5個以上のコンセントを使っている事も少なくありません。必然的にテーブルタップ等を使っての蛸足配線になってしまいます。
しかし、蛸足配線が必ずいけないという訳ではありません。
これから説明する注意点を守っていればテーブルタップを使った蛸足配線も問題無いでしょう。
まずは容量を守ること。
市販のテーブルタップなどは使用可能容量が決まっています、取り扱い説明書に表示されている容量以内で使用します。
そこに使用する照明やヒーターなどが全部同時に動作した場合消費電力がテーブルタップの使用容量に収まるかを計算すれば良いわけです。
その他コードを金具で壁に打ち付けないとか長いコードを丸めて使わない等の注意点はテーブルタップや電気器具の注意書きを守って使用します。
そのほかに注意しなければならないのはトラキング現象と呼ばれる火災の原因となる問題です。
トラッキング現象とはコンセントとプラグの隙間に湿気を帯びたホコリが付着し、それが電気を通すことでコンセントがショートしそこから出た火花や熱で火災が発生するという恐ろしい現象です。
これは何も水槽の近くでだけ起こる問題ではなく、湿気を帯びたホコリが溜まるような場所では何処でも起こる可能性が有ります。
ベットや冷蔵庫、家具などで隠されたコンセントは要注意です。
その他にコンセントが沢山必要となるAV機器やパソコンなどのラックの裏に押し込められたコンセントも要注意です。
それと同じように水槽の電源をテーブルタップで取得している場合、とかくごちゃごちゃしたコンセントは目障りなので水槽台の裏や水槽の裏に押し込んだりされがちです。
そうすると目に触れない分ホコリが溜まっても気が付かなくなりがちです。
水槽のまわりは湿気も多くまさにトラッキング現象が起こりやすい環境であると思われます。
トラッキング現象を起こさないためにはコンセントの接続部分にホコリをためない事です。
そのためには配線用のテーブルタップ等は目に見える場所かすぐに取り出せる場所に設置して定期的にチェックして下さい。
トラッキング現象については東京消防庁の「生活安心情報」のページをご参照下さい。
それから蛍光灯のコネクター部分は水跳ね等によりショートする事も少なくないようです。
高級な照明器具や海水水槽用の照明器具の場合照明器具の側にもガラス蓋が付いていたりして保護されていますが、そうでない普通の照明を使っている場合はコネクター部分にテープを貼るなどして水が跳ねてもすぐにはショートしないような対策をしておくことが必要です。
日頃水が跳ねることが無いような水槽でも夏場の水の蒸発で水位が下がりシャワーパイプが水面より上に出たために水跳ねをを起こすという事もあり得ます。
蛍光灯のコネクター部分と同様照明装置の裏にある使わないコンセントの部分などもテープで保護しておけば万全です。
またサーモスタットとヒーターの接続部分などもほこりが進入しないようにテープでとめておけば良いでしょう。
最後に漏電ブレーカーです。
ブレーカーと言えば家の玄関付近の高いところに付いていて、電気製品を使いすぎた場合なんかに遮断されてしまうあれを想像しますが、構造はそれと似たような物です。
電気製品を使用する直前に経由させ、そこから先で漏電が発生した場合に即座に電源を遮断してくれると言う代物です。
工事等が不要なタイプの物がホームセンターなどで4千円ほどで販売されています。
日本ではあまりなじみが無いのですが、海外のホテルなどでは洗面所やトイレなど、水を扱うそばにあるコンセントには、こういった漏電ブレーカーが内蔵に成っている物が設置されていたりします。(たぶん何かの安全基準などで制度化されているのでしょう)
水槽に手を突っ込んでいるときに何らかの事故で照明器具が水槽に落下したら・・・
最悪の場合感電死しかねないです。
ダメだと分かっていても濡れた手で水槽周辺の電気器具を触っている経験がおありのアクアリストも少なくないと思います。
そういった場合の安全対策としてアクアリウム用の電源取得を行うコンセントの所で、こういった器具を経由させておけば安心です。
アクアリウムにおける事故ではヒーター事故というのが水漏れについで2番目に多い事故ではないかと思います。
ヒーター事故は軽いものでは高温になりすぎたり、保温が効かなくなって魚を死なせてしまう事から、大きな事故では火事になるようなケースも有るようです。
水漏れが原因で人の命に関わるような事故はまず起こらないでしょうが、ヒーター事故の場合は火災という人命に関わるような大きな問題につながる可能性がある分、最も注意しなければならない点だと思います。
熱帯魚用のヒーターが原因と見られる火災は東京都内で毎年年間数件は発生しているらしいです。
地震などによって水槽が割れる場合でなくても、後述するような状況でヒーター事故は発生していますので十分に注意する必要があります。
安全のためにヒーターは通電状態で絶対に水から出さないことです。
通電した状態のヒーターは水から出すと5秒ほどで表面の水滴が沸騰したりまわりのゴムが焼けたりしてぷつぷつと音がしだします。
アクアリウム用のヒーターとはそれほど強力なのです。
空気中で通電して高温になったヒーターに触れたりしたら簡単にやけどしてしまいますから、絶対に水から出した状態で通電しない事が大切です。
当たり前のことですがサーモスタット機能を持っているヒーターでない限りヒーターは設定温度になると通電をストップするサーモスタットとセットで使用します。
ごくまれに配線を間違えてヒーターをコンセントに直に接続してしまうと言ったうっかりミスも有るようです、設置する際には説明書きをよく読んで間違えないように気を付けます。
ヒーター事故で最も多いのは水替えをした際などにサーモスタットのセンサーが何らかの原因によって水から出てしまうケースです。
こうなると後述の安全装置付きのサーモスタットで無い限り、センサー部は設定温度より低くなったことを検知してヒーターに通電したままになります。
水槽サイズに見合ったワット数のヒーターを使用しているなら、ヒーターに通電したままの状態が長時間続くと、水槽の水の温度は摂氏90度を越えるまで熱せられます。
もちろんそんな高温になったなら魚は死んで水草は煮えます。
また、こういった現象は換水時だけに起こるとは限りません。
夏場の水の蒸発が原因でも発生するのです。
夏場は温度上昇のため水の蒸発によって多い場合は1日で1〜2cmも水槽の水位が下がります。
特に管理がいい加減で換水や足し水が不十分な水槽では、水の蒸発によってサーモスタットのセンサーが空気中に出てしまうと言う事が起こります。
特に長期間外出するような場合にこういったことが起こりがちで、不在の時にこれが起こると非常に危険です。
空気中に出たセンサーが原因でヒーターに通電したままの状態が続きます。
そうすると水槽の水が沸騰状態になり、数時間で水槽の水が全て蒸発します。
水の蒸発によってヒーターが空気中に出ることとなり、ヒーターが高温になって出火する。
これは実際にあった事なのです。
ヒーターのセットにはこういった事が起きないようサーモスタットのセンサーは、換水時などに誤って水槽外に出たりしないよう設置する。
水が蒸発しても簡単にセンサーが水上に出ないようにセンサーはなるべく水槽の深い場所に設置するなどの対策が必要です。
またサーモスタットの取扱説明書にも有るとおり、サーモスタットのセンサーとヒーターは必ず同じ場所にセットします。
水槽の見栄えを良くするためにヒーターを水槽外(濾過装置内や濾過経路)にセットし、センサーは水槽の中に有るという構成にする人が居るようですが、何らかのトラブルでヒーターをセットした経路への水の流れが停まった場合、これもヒーターへ通電したままに成る可能性があるので、こういった設置方法はやめましょう。(もともとそれ用に設計しサーモも組み込まれたヒーター内蔵型濾過器を除く)
また、ヒーター(サーモスタット)の電源はたとえ短時間の作業であっても換水時には電源を切るようにしましょう。
いつもは数分で終わっているからと通電したまま作業を行うと水を床にこぼしてしまい、それを拭いている間に燃えていたという事も起こり得ます。
ヒーターは使用し始める秋口にはバケツなどで必ずテストしましょう。
水槽にセットしっぱなしのサーモスタットとヒーターでもテストした方が良いです。
最近のIC式サーモスタットは故障した時には安全のため通電しない状態で故障するように設計されていますが、もしかしたら通電しっぱなしになるような壊れ方をしているかも知れません。
テストしておけば通電しない壊れ方をしていても使う前に分かるので、修理したり買い替えたりして問題が発生する前に対応できます。
ヒーターやサーモスタットというのは比較的故障することが多い(通電しなくなったり熱を発しなくなる故障がほとんど)ので、まれにサーモスタットとヒーターを2系統設置している人も居るようですが、ただ単に2系統設置しているだけでは結局両方壊れた時まで故障していることに気付かず意味がないという笑い話も有ります。
こういう場合はどちらか1系統の設定温度をかなり低く設定しておき通常は使わない形で運用し(予備機としておく)通常使用している方が壊れて予備機の設定温度まで温度が低下したら予備機が通電するようにしておき、予備機の方はヒーターと一緒にブザーにも通電するようにしておくなど、かなり考えた設備にしておかなければ意味がないです。
(そもそも、予備機の方が先に壊れていたらこれでもダメですね(^^ゞ)
設定温度より低くなるとアラームが鳴るという高級サーモも有るようですが、そもそも故障でサーモの温度センサーが壊れるようなことが有れば、ヒーターにも通電されないしアラームも鳴らないのではないかと個人的には思います。
阪神大震災の後アクアリウム用のヒーターが原因だと思われる火災が多かった事をきっかけとして各アクアリウムメーカーが安全対策をしたサーモスタットやヒーターを発売するようになりました。
画像のような水位センサーと一体型になった温度センサーを持つICサーモなら先の問題で多くの場合自動的に電源を遮断してくれます。
また火が出にくいヒーターであるとか、ヒーター本体の温度が一定以上に上がると内蔵されたヒューズが飛ぶように作られている物等安全対策を施したサーモスタットやヒーターが多数出回っていますので、多少価格は高くなりますがなるべくならそういった商品を選んで購入しましょう。
これは安全に関わる事ではありませんが、ICサーモは比較的よく壊れます。
一説によれば普通のICサーモは中の回路が非常に貧弱で、電源部がサージに耐えられるだけの回路と成っていないらしいです。
サージとは冷蔵庫のコンプレッサー、洗濯機のモーター、掃除機のモーター等を動かしたときにコンセント経由でやってくる電源ノイズや、日常発生している電流や電圧の上下の事で、ICサーモの電源部にはそれらに対応できるようなきちんとした回路が組み込まれていないため、ちょっとした突出電流で回路内部に異常電流が流れ壊れるらしいです。
ICサーモを接続するコンセントにはオーディオ用のサージ防止回路を搭載したテーブルタップ等を使えばそういった故障も回避出来るらしいです。
まず二酸化炭素は毒性のあるガスだと言うことを良く認識して下さい。
消火装置の誤動作による事故や火山性の二酸化炭素中毒で死亡事故が発生しているように、空気中の二酸化炭素濃度が10%を越えると生命に危険が有る有毒ガスです。
とはいえ前述の消火設備などを除いて、居酒屋を含め(居酒屋の生ビールは必ず業務用二酸化炭素のボンベが必要なのです)業務用二酸化炭素のボンベを設置している所で、二酸化炭素による人身事故が有ったという話は聞いたことがありません。
従って二酸化炭素のボンベに関しても危険性を十分に認識して、正しい取り扱いをすることで水槽用ヒーターと同様に危険を回避出来ると思います。
まずボンベは通常のヘアスプレー等の缶やカセットコンロのボンベと同様摂氏40度以上になるような場所に置いてはいけません。
真夏に業務用二酸化炭素のボンベを調達した帰りに、パチンコ屋に寄り車内にボンベを乗せたままにしていたところ、車の中で高温に成りすぎたボンベの内圧が上がり安全弁が作動して車内に二酸化炭素を放出したといった実際の話も有ります。
74gボンベにしろ業務用ボンベにしろ温度上昇で内圧が上がりすぎると自動的に弁が開いてボンベ自体が破裂するようなことがないように出来ていますが、安全弁が動作すること自体かなり危険ですから、そういったことが無いよう保管しなければなりません。
冬場などファンヒーターの熱が直接当たるような場所では温度がかなり高くなりますから注意が必要です。
もちろんヒーターのそばなどは二酸化炭素のボンベでなくとも、ヘアスプレーの缶を置けば1〜2時間で爆発し中の可燃性のガスや液体に引火して火災が発生する事は知られていますので、まあ常識的なレベルで暖房器具のそばには置かないことですね。
それから夏場の車内同様日の当たる密閉された場所も高温になりますので、そういった場所に置くことも避けましょう。
雨風があたる場所もボンベ本体やレギュレータが傷みやすくなりますのでそういった場所への保管もしない方が良いでしょう。
ボンベの保存と設置は冷暗所にということになります。
通常水槽台の下とか部屋の隅とか押入の中等に設置されることが多いようですが、そういった場所ならokです。
また74gボンベも業務用ボンベも中に入っているのは高圧で液化されたガスです。
急激にボンベから噴出されると液体のままのガスが出ます、ボンベから出された液化ガスは急激に気体に変化しその際まわりから気化熱を奪いますから、液化ガスが体にかかったりすると凍傷になることも有るようです。
特に取り付け取り外しが頻繁に起こる74gボンベの場合注意が必要です。
業務用ボンベの場合はレギュレータの取り付け取り外しの際にはボンベ本体のバルブを確実に閉めてから行いましょう。
業務用ボンベは5kgサイズのボンベで総重量が20kg程度とかなりの重さが有ります。
足の上などに倒れ込んできたら場合によってはかなりなケガをしそうですから、設置するときには倒れないように固定するなどして下さい。
配管には間違いが無いように注意して、設置後必ず石鹸水などで漏れチェックを行います。
毒性のあるガスだと言うことを忘れずに漏れチェックは入念にやりましょう。
設置の仕方や配管の仕方、漏れチェックの仕方は「CO2添加のすすめ」を参考にして下さい。
水槽を持っているとコップ一杯程度の水漏れからバケツ1杯程度の水漏れはよくやってしまうことですね。
まあ、あまり大事にはならない場合がほとんどなのでそれほど騒ぎ立てる事は無いのですが、場合によっては階下の天井や家具を傷めたりしますので注意が必要です。
水漏れ事故を少しでも防ぐためには濾過などの配管経路を確実にすることです。
器具自体にホースを締め付ける機能が無い場合には市販のホースバンドを利用してホースを固定しておくのも良いでしょう。
またホースが曲がるところにはエーハイム社等からホースの曲がり部分にセットする添え木のようなパーツも販売されていますのでそういった物を使うのも有効です。
アクアリウムについての安全性ということで、ここまでごちゃごちゃ書いてきましたがいずれの内容も構造や原理を理解するか取扱説明書をよく読めば分かるような基本的な内容です。
どんな遊びでもそれについての危険性を理解した上でそういったことに遭遇しないよう自分の責任でコントロールし、そして沢山楽しむと言うことが基本だと思います。
一人でも多くの方が安全にそしてより多くのくアクアリウムの楽しさを味わって頂ければと思います。