よしを’S質問箱(Deep編)
分類 @@#アクア一般#@@
Q1038.リン酸の除去方法について
【うししさんからの質問】
よしをさん、こんにちは。いつも楽しく拝見させて頂いております。まだアクアリウムを始めて2ヶ月ほどですが、これまで維持してこられたのは貴ホームページのおかげです。

さて、一般論としてお尋ねしたいのですが、水槽に蓄積したリン酸の除去方法にはどのようなものがありますでしょうか?というのも、アクアリウムに関する本やホームページは数多くあり、アンモニアや硝酸塩の濾過方法については必ず取り上げられています。しかしリン酸の濾過方法に関するものはほとんど見当たりません。私の乏しい知識で思いつくのは1.水換え 2.底床掃除 3.吸着濾過 4.餌のコントロール くらいしかありません。何かリン酸に関する知識、ノウハウをお持ちでしたら、ご教授頂けませんでしょうか。

この質問の背景です。
水槽をセットしてから1ヶ月近く、コケはほとんど見当たらず、水の臭いもほとんどありませんでした。また硝酸塩を定期的に試験紙で測定していましたが、毎回検出レベル以下でした。それですっかりいい気になっていたのですが、1ヶ月を過ぎたころから加速度的にコケ(茶コケ、髭状コケ)の量が多くなり、ついには濾過器の内部にまではびこるに至って、ようやく異変に気がつきました。水もだいぶ臭っていました。硝酸塩は検出されないのに何で?と腑に落ちなかったものの、底床掃除をした後に水換えを行い、濾過器の空きスペースに活性炭を詰められるだけ詰め込んで対処した結果、翌日には水のにおいは嘘のようになくなっていました。そこで硝酸塩でないとすると原因はリン酸か?と考えた次第です。

犯人がリン酸だとすると、リン酸過多になった原因として思い当たる点はいくつかあります。
1.テトラワンタッチフィルターの活性炭の効力が切れた(交換もせず入れっぱなし)
2.水槽セットから1ヶ月経過したころ底床掃除をした(汚れが舞い上がった)
3.給餌管を使い始めてから餌やりの量が増えた(フンの量が増えた)
4.小型水槽(水量20リットル程度)なので、もともと汚れやすい
5.発酵式CO2供給装置のジョイントが破損していた(水草の生長がおそくなった)

水槽に入っている水草は、ラージリーフハイグロフィラ×5、アマゾンソード×1、アヌビアスナナ×1、リシア3山で、もう植えるスペースがないくらいです。魚は当初から来てもらっているネオンテトラ×5のみです。ワンタッチフィルターにはセラミック濾材を詰め込んでいますし、水草も順調に成長しているようですので、窒素分(硝酸塩)はあらかた植物に吸収されたと考えています(窒素肥料は植物の葉や茎の形成に使われると聞いています)。一方、リン酸肥料は植物の実や花の形成に使われるそうですので、水草にはあまり入用でない肥料なのかもしれません。それでリン酸だけが余ってしまい、コケの増殖に貢献した?というのが私の推測ですがいかがでしょう?

なお、その後リン酸濃度の測定試薬を購入し、活性炭投入後の水を測定したところ、0.1ppmでした。活性炭を取り除いて、一定期間後に測定してみれば原因がリン酸かどうかがはっきりわかるのですが、ようやく安定した今、火中の栗は拾わないでいます。なのに斯様なお尋ねをするのも順序が逆なのですが、思い切ってお尋ねしてみる次第です。大してDeepでもないのですが、ご回答頂ければ幸いです。
A1038.水槽の中は想像もつかないもの
リン酸はご存じの通り、濾過によって除去したりすることは出来ません。
水槽の富栄養化はほとんどのケースで濾過により解決することは出来ません、そのくせ、水槽水の栄養バランスというのは水槽において発生する管理者の歓迎しない事象(例えば苔の発生とか)には深く関わっています。

水槽の中の出来事が、まだあまり理解できていない時期にはたいがい、苔の発生や水槽の不調は濾過を何とかすれば解決できると間違いがちですし、濾過さえ強化すれば水換えを減らせるとか行わなくても良いようになると勘違いしがちです。
しかし、一般の濾過はアンモニアや亜硝酸を無害なものに変化させるだけで、無害な物質による水の汚れや栄養分の蓄積からはどうしても逃れることは出来ません。

唯一水草はそういった物を栄養分として吸収する場合が多いですが、これもほとんどの場合その発生に比べて消費が少ないため、汚れや栄養分はやはり貯まる一方というケースが多いです。
また、水草がそれなりに存在すると必然的に落ち葉や代謝した根などが発生し、それらが水を汚したり富栄養にさせたりすることも起こります。
結局は限られたスペースに魚を飼い、餌を与えたり水草に肥料を与えたりする以上は、与えた分の餌や肥料に相当する分を水槽から除去してあげなければ、差し引きゼロには成らないという事です。

吸着濾過も水槽から汚れや不要な栄養分を取り出すための一つの方法ですが、最も効率的でコストが安いのが水換えです。
「水換えに勝る良薬無し」と昔からアクアリストの中では言われております。
また、温度合わせを怠るなど、バクテリアにダメージを与えるようなことさえしなければ、水替えという動作はほとんどのトラブル解消に繋がると言っても言い過ぎではないと思います。

うしし さん、の環境でリン酸が過多になったかどうかは分かりません。
ただ一つ言えるのは水槽で起こる事象というのは、よほどの場合を除いて人間が簡単に頭で考えられるほどシンプルな物ではないということです。
うしし さん、もこれまで異性とつきあって、その気持ちが分からず苦労した経験がおありではないかと思います。
異性でなくとも他人の気持ちは自分が想像したり理解したりなかなか出来ないものです。
水槽の中の状況もそれと同じと思った方が良いです。

また異性とおつきあいしても始めの1週間や1ヶ月ではお互いの気持ちの変化や関係の変化はめまぐるしく起こりますが、おつきあいして何年もすれば落ち着いた物でこれといった変化が起こりにくくなりますよね。
水槽もそれと同じでセット後半年を過ぎるまでは状況はどんどん変わって行きます。
そしてそのほとんどは人間の考えや憶測で理解できる物ではないですし、ましてやそうたやすく人間の意図したように成ってくれるものではありません。
異性とおつきあいするのも相手の気持ちが完全に分かってしまって、全てが自分の予想したように展開したら、きっとおつきあいする楽しさとか、うれしさというのは、断然少なくなってしまうと思います。
水槽も分からないからこそ苦労するのですが、だからこそ上手く行ったときに嬉しかったり感激したり出来ると思います。
  • 2005/4/20 王余魚 さんよりご意見情報投稿
    こんにちは。
    お考えの原因に対してお答えいたします。
    1.活性炭はリン酸の吸着に対しほとんど関係ありません。
    2.舞い上がった汚れとリン酸濃度はほとんど関係ありません。
    3.餌の量=糞の量は直接リン酸濃度に関与します。
    4.おそらくその通りでしょう。
    5.水草による水中のリン酸吸収は、ごくわずかです。水槽内ではほとんど寄与していないでしょう。

    試薬で検出できないレベルの硝酸でも、水草や藻類が生育するには十分な濃度です。
    そして、硝酸が検出されずリン酸が検出されたのは、硝酸の測定に使った試薬とリン酸の測定に使った試薬(測定法)の感度差によって、リン酸の方が鋭敏に検出されたためでしょう。

    さて、本題です。
    多かれ少なかれ、土壌中の鉱物にはリン酸が吸着し、水に溶け出しにくくなる性質があります。
    例えば、農業の分野では土壌の性質の一つとして「リン酸吸収係数」という数値で表されます。
    これは、「土壌がどれだけのリン酸を吸着できるか」「土壌がどれだけリン酸を吸収して放しにくいか」を表す数値で、土壌に対するリン酸肥料の効果判定や投入量の判断に用いられます。また同様に、水処理の現場でカキ殻のような天然資材を用いてリン酸除去を考える際の判断材料となります。
    一般的な土壌では、リン酸吸収係数は乾燥土壌100グラム当たり数百ミリグラムで、これが火山灰土だと数千ミリグラムに達します。火山灰土に近い特性の人工物として、活性アルミナも同様の値を示します。
    また、石灰石、貝殻、サンゴ砂のような炭酸カルシウムもカルシウムとリン酸が直接反応して高いリン酸吸着能力を発揮します。ただし、園芸用の焼き玉土などのように高温にさらされたものはリン酸吸着能力が劣ります。
    どうしてもリン酸を取り除きたいなら、高価ですが活性アルミナを使うか、シラス台地にみられるような生の火山灰土をろ過槽に仕込めば良いでしょう。

  • 2005/11/06 うしし さんよりご意見情報投稿
    よしをさん、王余魚さん、遅くなりましたが、ご回答とアドバイスをありがとうございました。その後自分なりに水質向上対策をとり、今のところ上手く行っているようです。対策の一つは60cm水槽に切り替えたことです(嫁さんの反対を押し切った!)。

    対策のもう一つは、鹿沼土を窒素とリンの吸着濾材として使用するもので、三重県科学技術振興センター保健環境研究部レポートをそのまま実践しています。これは下水処理に使われる技術です。

    この対策のためとは言い切れませんが、現在のところ藻類の繁殖は目に見えて抑制されています。因みに私が長期出張から帰った際(3週間水換えなし)、リン酸濃度は5ppmでしたが、濾材投入から24時間後には0.5ppm、4日後には0.2ppmとなっていました。現在では0.1ppmで推移しており、ガラス面のコケは月に1回の軽い掃除で十分となりました。よって換水と併用すれば安定した水質を保てると考えております。

    なお、窒素肥料に硝酸塩検査紙を浸してみましたが、王余魚さんのご指摘どおり、あまり感度が良くないようです。近隣の店で硝酸塩試薬を扱っていなかったため、通信販売で先日ようやく手に入れました。さっそく硝酸塩の吸着効果を実験してみようと思います。よしをさん、王余魚さん、有難うございました。

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