研究開発費とマーケットの大きさ
どこかにアクアリウム製品のルーツが・・・

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最近は口にする機会がめっきり減りましたが、最近のインスタントの(お湯をかければ食べられる)カップラーメンって凄いですね!

何が凄いって中の麺やら具やらのバラエティーに富んだ豊富さとその保存方法及びお湯をかけて復元されるその技術に感心します。
もちろん昔、日清のカップヌードルを初めて食べたときに比べると、その味も何百倍も良くなっている事は言うまでもありませんが、あるのもは生麺のようなもの、あるものはレトルトの具のようなもの、あるものはお湯をかけると見る見る元に戻る特殊乾燥されたモヤシやキャベツ・・・

作り方が複雑になってしまって毎回容器の小さな字の作り方欄を何度も読み直して作らなければならなくなったのはどうしても不便ですが、それに引き替え具の豊富さには毎回関心してしまいます。

今回はインスタントラーメン評論のような内容で始まりましたが、研究開発費がテーマです。

で、先の色々とアイデアを凝らしたカップ麺ですが、やはりその研究開発には膨大な予算が使われているらしいです。
大手食品メーカーの製品開発部署には何十人、何百人というスタッフがおり一つの新製品を発売するまでには何億という開発コストが掛かっているらしいです。

カップ麺だけではなく日用品の洗濯洗剤やシャンプー、それからビールや風邪薬、それらは1%売り上げが上がるだけで何億という増収に繋がるのですから一人でも多くの人に気に入ってもらおうとか、1円でも製造原価を下げようという事の為に、莫大な研究開発費が使われるのでしょう。

さてそういった話からアクアリウム用品に目を移すと・・・
先の日用品やカップ麺の研究開発のレベルと比較すると、ほぼそんな活動はしていないと言っても過言ではないほど、研究開発は行われていません。
アクアリウム用品は何故高価なのか」のページでも少しふれましたが、そもそも大手アクアメーカーの全部の商品をトータルした年間の売り上げでさえ数億〜十数億、多くても2〜3十億しか無いのですから、そんな経営状態の中から専門の研究室や研究員が存在しなくても不思議ではありません。

肥料ひとつにしたって、アクアリウムメーカーが自前でアクアリウムという用途に特化して、大手園芸用肥料や農業用肥料のメーカーと同等に肥料の分解のされ方や吸収のされ方を研究し新しい肥料を開発出来る訳がありません。
ほとんどのメーカーは国内や国外の園芸用または農業用肥料メーカーからその原料を買ったり、またはアクアメーカーの指定した仕様でその肥料メーカーに製品を製造してもらったりしているのが現状です。

中にはアクアリウムという特性に合った配合(たとえば水槽では窒素分が比較的多く存在しますから、窒素分の少ない配合など)に仕様を指示し製造させている場合もあるでしょうし、もしかしたら私が園芸用肥料を水槽に使用するのと同じ感覚で園芸用肥料がそのまんまでアクアリウム用に転用されている可能性だって無いとは言えません。

結局アクアリウム用品って肥料に関わらず、その製品のルーツを辿っていけばどこかにその元となる物が有る場合が多いです。
ある物はそのルーツとなる製品をアクアリウムに適した状態に少し変化させた物から、中にはそのまんまアクアリウム用に用いられる物まで様々です。
それもまたマーケットが小さいが故に仕方がないのでしょう。

しかし逆に考えれば、どこかにその製品の元となるものが存在すると言うことは我々もちょっとした努力や工夫をすることで、アクアリウム用と変化させられた元の製品を利用してアクアリウムに使用することが可能だという事だと思います。

アクアリウム用品の自作や水槽の補強・修理等を行うときに、ホームセンター(大工道具センター)で販売している左画像のようなシリコンボンドを使用することは有名ですが、こういった物を使う場合にも中の成分によっては防カビ剤や防腐剤が混入されているのでアクアリウム用に利用するには不適切な物も有ります。
しかし我々はそういった情報を知っているのでホームセンター(大工道具センター)に行ったならパッケージをチェックして防カビ剤や防腐剤が入っていない物を選択し購入してくるようにすれば問題ないわけです。

たとえばこのシリコンボンドがアクアリウム用に流用された場合のことを予想してみましょう。
あるメーカーがこれは商品として販売できると判断し、そのシリコンボンドメーカーに申し入れて原料かまたは箱にパッケージされていない状態の商品を購入し、自社のパッケージに詰め直してアクアリウムショップで販売するという事になるでしょう。

もし、そうやってアクアリウムショップでシリコンボンドが売られていたとしたら、皆さんはどう思いますか?

ある人に言わせれば「ホームセンターへ行き沢山陳列されているボンドの中からアクアリウム用に使っても問題ない物を選択するという手間が省け、その上日頃滅多に行かないホームセンターのボンド売場よりも、よく行くアクアショップで手に入る方が便利だ」という事になるそうですが、本当にそれで良いのでしょうか?
ホームセンターで購入するのと同じ価格かそれにほんの少し上乗せされた程度の価格で手に入るならそれもかまわないでしょうが、そういった場合往々にしてホームセンターで購入する価格の何倍もの価格になっているのです。

本当にそういった商品を認めて、そして購入して、それで良いのでしょうか?
私はそういった所にも情報を入手しアクアリスト一人一人の工夫や努力が加わってこそ、ホビーとしての楽しみがあるのではないかと思います。
”防カビ剤の入っていない物を選ぶんだ”という情報を入手し、ホームセンターでそういった物を探して発見し、そしてそれを使って物事に対処出来たとき、アクアリストは一つ賢くなるのではないでしょうか?

どうも最近の風潮はアクアメーカーの言うとおりの装備を全て買い揃え、アクアリウムメーカーの言うとおりのセットをし、アクアリウムメーカーの言うとおりの薬品やバクテリアを添加し、アクアリウムメーカーの言うとおりのメンテナンスをする。
その中には自分なりの工夫や個性といった物が何ら存在しないのではないでしょうか?

確かに最終的なレイアウトは自分自身の物でしょうが、(最近ではそれ自体も誰かの物や雑誌などの物をお手本にしてあたかもコピーしたような水景を作る人も少なくないようですが・・)水景以外の部分はまるで設計図通り作られたプラモデルのように感じてしまうのは私だけでしょうか?

たしかにそういった方法で作り上げれば上手く行く確立が高いのかもしれません、でもそこには自分の工夫とか何故そういった事をするのかといった理論や根拠は存在せず、自分なりの判断という物も存在しない可能性が有ります。

メーカーの販売するパーツでメーカーの作成した通りの設計図に従って作り上げられたプラモデル水槽も悪くはないでしょうが、アクアリウムというのは水景以外にももっと自由に出来る所は数限りなく存在します。
アクアリウムに関するあらゆる所でアクアリスト一人一人が勉強し判断し、工夫をする、そうしてこそアクアリウムはさらに楽しくなるし、自分らしいアクアリウムスタイルもそこから生まれてくるのではないでしょうか?



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