アクアリウム用品はなぜ高価なのか
ボッタクリと正当なコスト添加の商品を見極めましょう

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アクアリウムのマーケットというのは非常に小さなマーケットです。
それがアクアリウムのマーケットの大きな特徴を形成する元となっています。
(その他にはダイエット商品と同じく、その商品の効果が有ったのか無かったのか判断し辛く、また効果が無かったとしてもそれを証明して発売元へクレームを付けるということがほぼ不可能であるという、売る側にとって、とても都合が良い部類のマーケットであるというのも大きな特徴であると思いますが・・・)

もしあなたが混雑した電車に乗ったとして同じ車両に乗っている人が200人、さてその中に自分と同じくアクアリウムを趣味にしている人がどのぐらいの確立で存在するでしょうか?
私の感覚から判断するとその車両に乗っている人でアクアリウムが趣味であるという人は自分以外に居ないのではないかと思います。

あなたのまわりの知人を思い浮かべてもあなたが勧誘してはじめさせたり、またはあなたを勧誘した人達を除いて、アクアリウムが趣味であるという人はなかなか見かけないのではないでしょうか?
また、アクアショップがそれほど存在しなかったり、ホームセンターやディスカウントショップで11点水槽セット等を簡単に安くに手に入れることが出来ないようは地方では、もっとアクアリウム人口が少ないのではないかと思います。

そういう小さなマーケットであるためにアクアリウム商品は日用品のように”薄利多売”という売り方が出来ません。
必然的に商品を開発するにも製造するにも流通するにも商品一つ一つに按分した時点で日用品などに比べて大きなコストが必要になってしまいます。
これはアクアリウムメーカーが頑張っても、我々消費者が頑張ってもどうにかなるというものではなく、アクアリウム人口が増えマーケットが広がり大量の商品が流通するようにならなければ解決の手段は無いでしょう。

そのうえ日本の流通の構造上、製造元から消費者の手に渡るまでには中間業者を何段階かに渡って経由する必要があり、そこでも必要な(もちろん商品1個単位で比較すると日用品などに比べて高い)コストを上乗せされてしまいますから結局製造原価から考えて比較すると、商品一つ一つのトータル利益率は日用品のそれとは比較にならないほど高い物となります。

ま、アクアリウム用品は必然的に高くても仕方がないんだよと言うメーカー側に都合が良い話はこれぐらいにして・・・

マーケット理論からすると「大きなマーケットというのは消費者が主導権を握るが小さなマーケットは売り手が主導権を握る」という事実があるらしいです。
マーケットが大きければ自然と複数のメーカーが競合しますし、もし1社だけで販売されている商品でもその売上高がそれなりに高ければ後から別なメーカーが新規参入する可能性も高くなります。
後発メーカーは既存メーカーより安くて性能が優れている物を投入してくるでしょう、その結果性能や価格の競争が起こり、消費者は安くて良い物を買うことが出来るようになります。
また、高くてあまり良くない物は自然と売れなくなりますからマーケットから消えていくことになります。
しかし、これが小さなマーケットになると少ない売り上げを少ないメーカーで分け合うこととなり、新しいメーカーが参入する可能性も少ないですし、メーカー間で価格競争が起こる可能性も低くなります。

最近は国内のメーカーから外部式フィルターが次々と新発売になっていますが、機能こそ昔の輸入品のフィルターより優れてはいますが、価格は何故か昔からの外国メーカー製フィルターと非常に近い価格設定となっています。
私は国内メーカーのフィルターが発売されだした頃”これでやっと手に入りやすい価格の外部フィルターが流通するだろう”という期待を持っていましたが、発売価格を見てがっかりした記憶があります。
あたかもメーカー同士がお互いの利益を潰さないために談合して決めたような価格としか思えなかったからです。

たとえばある製品を販売しているメーカーがA社という会社とB社という会社の2社しか無かったとします。
その製品は現在どちらのメーカーの製品とも販売価格が2万円ですが、A社は企業努力をすればその製品が1万円で販売できる見込みがあるとします、それでもマーケットが小さい場合はA社は1万円に値下げするという事をしなくても良いのです、というかしないようにするのでしょう。

なぜなら1万円に値下げすれば一時期はA社のシェアが広がるでしょう、しかしきっとB社も対抗措置として1万円以下に値下げしてくるでしょう。
そうすると結局A社にとってもB社にとっても減収という結果しか残っていません。

そういったことが分かっているのでA社もB社も相談せずともお互いの懐を痛めないですむ価格を維持し続けるのです。

それからもう一つ。
マーケットが小さいと言うことはそのために使用できる予算が少ないという事があります。
その結果どういったことが起きるかというと、独自に開発した物を使うよりも既存の物を流用するというふうになります。

たとえばアクアリウム用品の中で応用ではなく完全な流用が当たり前になっているCO2関連のパーツ等が有名です。
ワンタッチで耐圧ホースを接続できる形式のCO2分岐パーツやスピードコントローラーなどは、まったく同じ製品がホームセンター(大工道具センター)のエアコンプレッサーの周辺パーツ売場で簡単に見つけることが出来ます。
もちろん耐圧ホースなんかも大きなドラムに巻き付けられており1mいくらで切り売りされています。

多くのメーカーが自社のパッケージに入れて販売しているそれらCO2の分岐パーツやスピードコントローラ・耐圧チューブが、そういった形で簡単に工業製品から手に入ります。
もちろんアクアメーカーもそういった物を工業界向けに販売している製造メーカーから仕入れて袋や箱に詰め直し販売していることは言うまでもありません。

当然、こういった流用品は元々のマーケットで流通している価格よりも、アクアリウムのマーケットに乗せ変えるために余分なコストが上乗せされていますから、アクアリウムの市場で購入する方が高くなっています。

よく観光地に行けば現在(98年10月)の標準小売価格である120円の価格より高い価格で販売しているジュースの自動販売機を見かけます。
しかし色々な背景を考えるとそれが当然で仕方がない場合も少なくはありませんよね。
たとえば山の上にある売店では、そこまで商品を輸送してくるのにそれなりのコストが掛かりますし、そこで捨てられた空き缶もまた山から下ろして処分しなければなりません。
自動車が通る道が無くゴンドラやリフトで登った山の上にあるような売店ならなおさらです。

しかし、それにならってかそういった余分なコストがまったく掛かって無いにも関わらず何故か高い価格を設定している都会のビジネスホテルのビールの自販機は許せません。

ホテルを出て数百メーター離れたところにある酒屋やコンビニでは通常の価格で販売されているにも関わらずホテルの中の自販機では350mlの缶ビールが350円とか400円します。
部屋に備え付けの冷蔵庫のビールが若干高いぐらいならまだ理解できます(部屋を掃除するときに各部屋の冷蔵庫の中身を補充するなどの手間がかかりますから)、それでも部屋に備え付けの冷蔵庫の350ml缶ビールが500円というのも高すぎますが・・・

いずれにしても、そこにそれしか無ければ仕方なく(又は外に出て買ってくるのが面倒なので)少々高くても買うだろうという足下を見た価格設定であることは明らかですよね。

中には足下を見た価格だと分かっていながら、”面倒臭いから良いや”とそういった物を買ってしまう方も多いでしょうが、私はそういった場合なるべくホテルを出て通常の価格の物を購入して部屋に戻るという事をするようにしています。

アクアリウムのマーケットでも同じように山の上の売店のように必然的に必要なコストを上乗せした結果高くなっている物と、足下を見て不当にコストを上乗せされているものが混在します。
なるべくその本質を見抜き支払うに相当する価格であるかを考える必要が有ると思います。

面倒臭いから多少高くてもアクアショップで全てが揃うのが良いという人も居るでしょうが、アクアリスト一人一人が多少面倒でも遠回りしてホームセンターに寄って商品を買うという行動をすることで、足下を見た価格設定は通用しないという事を主張すれば、多少なりともマーケットの主導権が消費者である一般アクアリストの方に引き戻せるきっかけになるのではないかと思います。



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