今話題のとある添加剤を水槽に入れたところ魚が次々と死んでしまいました。
べつに使用方法や使用量を間違ったわけではないはずですがどうしてでしょう?こんな内容の質問を質問箱に頂きました。
今回はこういった事柄に対してコラムにしてみようと思います。
まず、質問箱に投稿された質問では特定の商品について問い合わせられていますがその商品だけに対してどうこう言うだけの材料や根拠は私は持ち合わせていませんので、ここではその特定の商品についてではなく”内容物や成分または構成素材が分からない水質調整材や添加剤・濾過材(剤)全般についての使用に関する私見”という形に変えて行いたいと思います。
確かに今回質問に投稿されている商品に限らず、先に定義した”内容物や成分または構成素材が分からない水質調整材や添加剤・濾過材(剤)”を使ったところ魚が死んでしまったという現象もごくまれにですが聞くことはあります。
たぶんそれらの場合使用前の水質と使用した商品との問題で何らかの変化があり、それが原因になって魚が死亡するという現象に至ったのでしょう。
ほとんどの水質調整材や濾過材(剤)や添加剤は使用される状況に、ある一定範囲を想定しているはずです、使用される水槽のpHや温度・硬度・酸素濃度や二酸化炭素濃度・水量・魚の量・そして投入される量等々。
基本的にはその想定範囲で正しく機能したり、副作用が無いことをメーカーは確認しているでしょう。
従って、その想定範囲外での使用の場合何らかの予想外の結果が起こったとしてもおかしくないと言えます。
また、効果があるものほどその想定範囲外での使用の場合不具合が発生する確率も高いのではないかと想像できます。
しかし問題が発生するケースはそればかりとは限らないのではないかと私は思います。
人様の医薬品でもまれにあるように、想定範囲内の正しい使用の場合であっても色々な条件が複合して製造元で知られていない副作用がたまたま発生するということもあり得るだろうと思います。
そもそもアクアリウムのメンテナンス作業というのは色々な要因を持っています。
たとえば濾過は機能しているのだが非常に長期間水換えをしていなかった水槽があるとして、そういった水槽では硝化が進むにつれてpHが下がっていきますので、かなり酸性の水質である場合があります。
管理者がそういったことに気づかずに突然換水を行えば急激なpH変動やアンモニュームイオンの変化などによってあっという間に魚が死んでしまうこともあります。
この現象は上記条件が当てはまれば、それが塩素中和した水道水だけの換え水で行った場合でも、また水質調整材や添加剤・濾過剤を使った場合でもどちらでも起こり得ます。
従ってもし”内容物や成分または構成素材が分からない水質調整材や添加剤・濾過材(剤)”を使用したところ結果的に魚が死んでしまっても、その商品を使わなかったとしても魚が死んでしまう要因がどこか他に有ったのかもしれないし、もしかしたらその商品の使用想定範囲外の環境であったために何らかの悪い作用をしたのかもしれませんし、その商品の使用想定範囲内で正しい使用法だったにもかかわらず何らかの複合条件によってたまたま副作用が起きたのかもしれません。
残念なことに現在のアクアリウム用品の世界ではそれを使用することで何らかの問題が有った場合、その原因を特定しその製造メーカーに損害を賠償してもらうということが事実上不可能である場合がほとんどです。
もし魚の死亡とその商品が本当に関係していたとしても、それを結びつけ証明することが不可能だからです。
ということで、”内容物や成分または構成素材が分からない水質調整材や添加剤・濾過材(剤)”を使用することで何らかの問題があったとしても使用者は泣き寝入りするケースがほとんどで、有ったとしてもせいぜいメーカーのクレーム窓口に電話して苦情を言うが、結局「使い方が正しくなかったのではないか」とか「自社の製品と魚の死亡は関係ないでしょう」といった説明で終わってしまうのがせきのやまのようです。
もし、ある商品を販売してその商品の問題によって使用者が被った損害を賠償しなくて良いとすればどうなるでしょうか?
きっとその商品の問題を引き起こす原因を突き止めて改善するとか、次に発売する商品でそういった事が起きる可能性を低くするという発売側の責任感や義務・意欲といったものに期待できないのではないでしょうか?
ま、それ以前に「アクアリウム用品の信憑性」でも書いているとおり、現在のアクアリウム用品は商品の機能とか性能という項目よりも、うたい文句やパッケージ・広告やイメージを作ることによってどうやって売れるようにするのかという方に重点を置いた商売をしているように思いますので、それが事実なら用法を誤ると毒になるような薬を発売するよりも、毒にも薬にもならないようなものを発売した方が有利であると判断するようなアクアメーカーも中には存在するかもしれません。
毒にも薬にもならない商品を販売して「当社の製品はどのような環境で使用しても問題が起きることはありません」と言えるのも、使用した薬品で魚が死んでしまっても「魚が死んだのとその商品を使った事とは関係ないのでは?」と言って済ますのも、どちらも低レベルである事は違いないですね。
高いお金を払った上に本当にその商品がアピールしているほどの効果が自分の水槽で有るかどうか分からない”内容物や成分または構成素材が分からない水質調整材や添加剤・濾過材(剤)”を使うことで何か問題が発生したとしても、その責任が自分以外のどこにも存在しないという事になったなら、私はとても納得できません。
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従ってそういった商品を私は一切使わないようにしています。