アクアリウム用品の信憑性

−アクアリウム用品の真の効果や価値を見極めろ−


このページはよしをのホームページのコンテンツの一部である「アクアテロリスト」コーナーの一ページです。
初めてこのコーナーに来られた方はこのコーナーの開設目的等をお知らせしているここをご覧になってから本文を見るようにしてください。

先日とあるショップでとても凄い新商品を発見しました!!
以下その商品の紹介です。

商品名:スーパーバイオアルジデス
商品の説明
スーパーバイオアルジデスは水槽に発生する苔を抑制する、いや苔を無くす作用のある添加剤です。今までの類似品は苔を抑制するのと引き替えに、生体構造がほぼ同じである水草の生長まで抑制するといった問題点が有りました。
(水草に影響がないと記述している物でもほぼ100パーセント影響があった)
このスーパーバイオアルジデスは米ニューバイオテクノロジー社により開発されたニトロアルジバスターと呼ばれる有益な細菌を主成分に生成されており、それら有益な細菌はミクロレベルで存在する苔の元となる胞子だけを死滅させるという働きがあります。
したがってこれまでの類似品と違い苔に効いて水草には影響しない構造となっているのです。
ニトロアルジバスターの効果はすでに多くの水草育成ファームや熱帯魚ブリーダーの間で実証されております。
これ1本で貴方の水槽の苔(アルジ)を全て死滅(デス)させられます。

料金:200ccボトル  4千円


さてさて、これを読んで”こりゃ凄い!自分も手に入れなければ”と思った貴方・・
貴方はもう少し「よしをのホームページ」の他の部分を読まれることをお勧めします。
これを読んで”あれぇ?よしをさんっていつも薬品は使うなって言ってたのにどうして?”と思った貴方・・・
貴方は初級アクアテロリストです!
これを読んで”また、なに企んでるんだろうよしをさん?”と思った貴方・・・
貴方は中級アクアテロリストです!!

いやいや、こんな事を書くまえに断っておきましょう(^^ゞ
上に書いた商品とそれに関する情報は、全くのウソです。
商品名や企業名など全ての物は実在する商品や企業とは全く関係有りません。
完全によしをの作り話なのです。

「なんだよ〜、こんな所で人をだますなよ〜!!」と思った貴方、このまま立ち去らずにもう少しこのページを読み進んで下さい。

さて、今回私がなんでこんな架空の話をしたかというと、こういった事柄が架空でなく実際に起こっている世界がアクアリウム用品の世界であるという事を皆さんに分かっていただくためです。
もし、私に財力とやる気があれば上の説明書きの通りの商品を作って販売することも出来るでしょう。
もちろん、中身はなんだって良いんです。
家の裏の井戸からくんできた水に食紅で少し色を付けて、もっともらしい容器に充填し、もっともらしい箱に入れて先の説明書きを印刷するのです。

「え〜、そんなことしたら詐欺じゃないのぉ〜」とお思いでしょうが、抜け道なんて幾らでも有るのです。
たとえば”米ニューバイオテクノロジー社”という記述ももっともらしい表現ですが、実際にはオヤジが一人でやっていてマンションの扉に手書きの看板を掲げているような所から名前を借りてくれば良いわけです。

我々は、今まで生活用品や食料品、医薬品等全てが厳密に検査され、消費者団体などから監視された結果、ある程度信用できる商品でなければ流通しないという、非常に安全な消費生活の中で育ってきました。
誇大広告が有ればJAROに申し出れば何らかの対処がなされるのです。
こういった消費生活の中で育った我々は残念なことに流通している商品を簡単に信じるという癖が付いてしまっているようです。

しかしながらアクアリウムという世界では、消費に関しての信頼性ははまったくそうではないのです。
”魔法の濾材”と表現しながら裏の川で拾ってきた砂利をパッケージしただけの商品が、まかり通るマーケットなのです。

アクアリウムの商品には容器を変えただけで元の商品の50倍の価格を設定して販売している物から、効果も何も全く信用できない物まで様々です。

「俺はアクアリウム始めて、最初魚が死にまくって上手く行かなかったけど、あの商品を使ってから魚が死ななくなった、あれは本当に効果がある」と言われるような商品でも、実はその商品を投入した時期がたまたまバクテリアが繁殖し、濾過が出来上がったタイミングと同じだっただけで、実際にはその商品の効果でないという場合も多いようです。

特に「水替え不要」とか「魔法の〜」なんてうたい文句の商品はいかがわしい可能性大です。
もし本当に水換えが不要になるような物なら日本中のアクアリストや水族館がこぞって使っているはずです。
そんな良い物が有れば私だって使いたいです。

そうそう、それからもう一つ大事な事です。
皆さんが寿司屋に行ったとして、そこの板前さんが使っているまな板や包丁、さぞ一流の機材であると想像できます。
プロである板前さんが使っている物ですから素晴らしい物であると思って間違いないでしょう。
さて、これをアクアショップに置き換えたら・・・・
アクアショップはアクアリウムのプロであります(本当はそうでないアクアショップも多いですが)、そのアクアショップで全ての水槽になにがしかのボトルのような物が投入されているとします・・・
アクアリウムのプロであるアクアショップの水槽に投入されているんだから、そりゃ〜効果も抜群で素晴らしい商品なんだろうと思いがちですがそれは完全な間違いです。
残念ながらアクアショップはそれらの商品を買ってもらうことが仕事なのです。
皆さんの”プロが使う物”という錯覚を上手く利用した販促行為なのです。

極端な話、その薬品を使うことで逆に水槽の調子が悪くなるような物でも、それを販売すれば儲けがある商品なら、無理をしてショップの水槽に入れるという行為だってしかねないのです。
この前実在する某アクアショップで本当に見かけた話ですが、そこの水槽にも例のごとく様々な色をした小型のボトルが、ほとんどの水槽にセットしてあるではないですか・・・
「あ〜、やってるなぁ・・」と思いながらよく見てみると、なんとその色とりどりのボトルにはしっかりと封がされていて水槽に入ってはいるものの使われていなかったんですねぇ・・
まあ、そんなもん入れたら水槽の調子は悪くなるし苔がいっぱい生えるだろうから使いたくないのは分かるけど、それならそこまでしてお客を騙すような行為はやめなさいって・・

思わず店員を呼んできて「どうしてこれは水槽に入ってるけど封がされたままなんですか?もしかしてこれを入れるとそんなに調子が悪くなるの?」って聞いてやろうかと思いました!

また、こんなに高い物だからさぞ効果があるだろうとか、あのメーカーの商品だから効果があるだろうとか、そういった思いこみをさせる商品も少なくないです。
買った人間がそういった思いこみを持つので、必然的に水槽の調子が良くなったような気がする・・また、あまりにも思いこみが大きい場合はそれが水槽をメンテナンスする意欲の原動力となって、今までよりこまめに水換えをする、それが水槽の調子を良くするという実質的な効果に結びつく場合もあるようです。

ま、趣味の物ですからそういう錯覚を金で買うとか思いこみを買って、自分の力で良くするという事は悪いことではないと思います。
しかしながらそういったことが恒常的に起こるとそれは”いかがわしい物でも高価で売れる”という構図を助長する事にもなるので良識有るアクアリストは実体を良く理解し対処して欲しいと思います。

今後のアクアリウムマーケットを健全に保ち、小中学生が毎月のお小遣いでもまかなっていけるような趣味になるかどうかは、消費者側の我々の行動にもかかっているのです。
アクアリウムメーカーをいかに批判しても眉唾商品を迎合しているアクアリストが居る限り”いかがわしい物が高価で売れる”マーケットはなんら改善されないでしょう。


アクアテロリストインデックスページへ