リシア
学名 Riccia fluitans
この画像はあまり綺麗に撮影できていませんね、本来の美しさを知るにはアクア雑誌等を参照してください。
カズノゴケという和名を持つようにこの草は昔から日本の淡水域に多く存在する水草です。
昔は田圃の雑草としてお百姓さんに嫌われていたそうですが、最近では通常の田圃において農薬等の散布によりあまり見かけることは無くなりました。
それでもよく探せば田圃のあぜ道などで気中化したカズノゴケが見つかります。
ただし現在のレイアウト水槽に用いられるリシアしか見たことがない人にはまず気中化したリシアを見分けることは不可能でしょう。
裏を返せば自然の中での姿(気中化した物ならなおさら)はあまり美しい物では無いということです。
昔のレイアウト水槽ではリシアなんて入れることはまず無かったそうですが、かの天野さん(ADAの創設者)が独自のスタイルでリシアを水槽に沈め利用するようになってからリシアの新しい美しさが認識されるようになり爆発的に人気が出ました。
リシアの本来の姿は水面で浮かんだ状態であり、そのような状態で育成するのはリシアを増やしたい場合とグラミーなどの水面の浮き草に産卵床を作る魚の為だと思われます。
通常は後述の方法で強制的に沈水させて使います。
十分な光量とCO2添加により他の草には見られない酸素の泡を付けた素晴らしく綺麗な姿を見せてくれます。
また、根を持たない草にしては光合成活動がかなり盛んなので、この草を上手く育てることで水槽水中の栄養分をかなり消費してくれるので水槽の状態を貧栄養にコントロールするのに便利な草です。
この草は一般的な水槽維持が出来れば設備さえ整えることで必ず育成する事が出来ると言って良いでしょう。
どんなに簡単と言われる草でもどうしても上手く育たず、改善の方法も見あたらないという事象があるのが水草水槽の不思議な所ですが、この草だけはその例外と言って良いでしょう。
濾過が通常通り機能していて換水などのメンテナンスも普通通り出来ているならば、設備さえ揃えればどんな初心者でも綺麗に育ちます。
ちょっとした環境さえ整えればばんばん育ってがんがん増える草ですが、なぜかショップでの流通価格は信じられないぐらい高価です。
一度育成した経験が有ればその価格の異常さが分かるでしょう。
たぶん商業レベルでの育成流通がなかなか難しいからでしょうね、この草はほんのひとかけら(2mm程度の葉っぱ1個でも)から増えて水槽一杯になるのもよくあることです、草を買ってきたらかけらが付いていていつの間にか水面を占領されることもよくあります。
この草は他人の水槽にある物をひとかけらもらってくれば良いでしょう。
育成が簡単で非常に綺麗な草ですが、なかなか悪い評判も多い草です。
なぜならばメンテナンスにかなり手間がかかるからです。
その美しさを見ようと高光量高CO2の環境で育成すると1ヶ月で最セットしなければならないほど育ち、そのたびにリシアの切れ端が飛び散ります。
水槽へのセット方法はリシアネットと呼ばれる網に入れて沈める方法と流木や石に透明のナイロン製の糸(釣り用のテグス)で縛り付ける方法がある。
左の画像がリシアネット。
左側のネットが市販の物、市販品では大きい物と小さい物の2種類程度がある。
右側の物がホームセンターで購入したステンレスネットをカットして自作した物。
少し網の目が大きいが個人的にはこのぐらいで充分リシアを押さえられるし、セット初期にネットの下になったリシアに光が当たりやすいので良いと思う。
水槽に沈めて使うのでさびる材質のネットは決して使えないため注意が必要です。
私は昔100円ショップで購入した調理用のザルを使った事があります、鉄だとさびるので初めに磁石が付かないことをチェックして使用したのですが、なんと銅で出来ていたようで、数日でエビ数匹と魚数匹を亡くしてしまいました(>_<)
ネットを使ってセットする場合はあまり何も考えずにネットの内側になるべく薄く(ネットが透けて見えるぐらい)リシアを敷き詰めて水槽に一気に沈めて底床に差し込みます。
一気に沈めないと水槽の中でネットにセットしたリシアがネットから取れてしまいます。
あまり厚くネットに入れると底になる部分の光が当たらない所は枯れて腐りますから薄くセットするのがポイントです。
たまにネットの目に一つ一つのリシアをピンセットでセットするという人を見かけますが、そんなことはしなくても大丈夫です。
何も考えずに押さえつけるだけでok!
セット後1週間でこの様な状態になります。
ネットの中に入れられたリシアが成長するに従ってネットの目から葉の先端を出します。
綺麗に繁るまではこの様に全然綺麗ではありません。
成長が早ければ2週間から3週間でネットが見えなくなりやっと綺麗になります。
流木や石にセットする場合は流木に薄くリシアを敷き詰めその上から全体をテグス等のナイロン製の糸でぐるぐる縛ります。
使う糸はウイローモス等の活着に使う木綿糸では溶けてしまうのでダメです、細めの釣り糸が良いでしょう。
縛り方も糸が少しクロスするように目の細かさはリシアネットに見習って、かなり細かく巻いても良いでしょう。
多用してレイアウトするなら大きなサイズのネットや石を使うよりは小さめのネットや石をたくさん組み合わせて使った方がレイアウトに変化が出来綺麗に見えます、のっぺりしたサッカー場の様なレイアウトよりも起伏のある牧草地帯の方が絵になるでしょ?
セット後1ヶ月ぐらいで見頃になりますが、その後は最セットまでいかに持たせるかです。
成長するに従って下の方が陰になり最後にはネットやテグスにセットされた部分が枯れて腐って葉に付いた気泡の浮力ではがれて水面まで浮き上がります。
通常この状況を「バッコン」と呼び、「リシアがバッコンした(^^;)」等と表現する。
成長しきったリシアをなるべくバッコンさせずに再セットまでを少しでも長引かせる方法としては、伸びきったリシアの塊に碁石程度の石のおもりをのせたり、ネットと同じ材質の針金でU字型のアンカーを作り上から突き刺して押さえ込んだりする。
上手くすれば5〜8cm程度の厚さまで維持することが出来ます。
リシアとウイローモスをミックスして流木などに活着して使われたりする事もありますが、双方が成長したときにどうしようもなくなってしまって見栄えも汚らしくなるので個人的には好きではありません。
ネットの下になっている部分はかなり汚れがたまっていますから、再セットの時には必ずホースで汚れを吸い出しましょう。
CO2が十分に有る環境ではまれに半透明で緑が濃い感じの水に沈むタイプのリシアが出来たりします。
沈水性リシアと呼ばれることもありますが、こうなると光合成しても酸素の気泡を付ける事はないし、水槽の隅の方で勝手に増えていたりとかなりやっかいな存在になります。
育成環境によって葉の色や育ち方、はたまた沈水性になったりと色々と状況が変わる草ですが、どうやらリシアには葉の広いタイプと細いタイプが有るようで、広葉タイプと細葉タイプは環境により変化したりしないようです。
広葉タイプとは葉の断面が長方形で、細葉タイプは葉の断面が丸又は正方形に近い物です。