イカリムシ寄生症

原因と生態

 イカリムシが寄生することにより起こります。体表にイカリ虫の幼虫が入ってからイカリ状の触手が魚体にくい込み寄生することからこう呼ばれております。
 1925年に松井博士が豊橋近郊のウナギ池で発見され、命名しています。後に新種と判明する。節足動物の寄生性とうきゃく類で孵化すると脱皮しながら成長していきます。

 この虫は孵化直後で0.145ミリ(145ミクロン)の体長で、浮遊状態の最終期では0.184ミリの大きさになります。芽入は0.2ミリぐらいからで一匹の成虫から一回に約300個の卵が放出され、その約9割以上が孵化すると言われています。
 一生に一度の交接が雌の固着寄生期にあり、雄は寄生せずに一週間後に死亡しますが雌はそのまま魚体に寄生して成長します。

産卵は水温12度からで

 以上のように高率で、直ぐ増えてきますので要注意です。

イカリムシは2タイプの世代があります。

 実際には宿主に遭遇できなかったら死んでしまいます。しかし、卵や成虫は有機リン系殺虫剤(トリクロルホン)では効かないのです。浮遊性期に効きます。
 成体は鱗の下から2〜10ミリぐらいが出ていますので比較的見つけられます。卵は1.6日〜3.3日の間に孵化(メタノープリウス期)し、浮遊性(ナウプリウス期)になるのに3〜4日掛かります。このナウプリウス期に薬(有機リン系殺虫剤)を使って殺すのが効果的ですが、絶滅させるのには5〜6日間隔で1.5か月程度薬の散布をすることになります。これでは薬の副作用がでたり、バクテリアが死んでしまったりして魚体への悪影響がありますから現実的には行えないです。したがって、一度イカリムシが発生した野池や繁殖池では絶滅が難しいと言われています。
 (効果的な薬がありますが水生昆虫の媒介もあり効果が出ていないのが現状です)

 有機リン系殺虫剤の効果の持続性は、条件にもより異なりますがだいたい2週間程度と覚えていただきまして、一般飼育での駆除は3回ほど薬の散布が必要になります。悪いことに水温10度以下、36.5度以上ではイカリムシの孵化はなく14〜32度が繁殖に適しており、しかも雌親は汽水でも抵抗力があり死なないそうです。

症状

 付着初期には池や水槽の水底や側面にこする動作が見られ、割と不自然に活発な動きが見受けられます。数匹の付着でも体力が消耗し、しだいに動きが鈍くなり痩せてくるのが特徴ですから早めに見つけて下さい。
 口の中にも寄生しますが体表や各鰭に多く寄生します。体表では、最初は白く盛り上がったようになりその部分が赤みをさしてきますので、手で擦り取り、中にイカリ虫がいますから取り除いて抗菌剤や塩、リフィシュ、マゾテンのいずれかを患部に擦り込んで下さい。

対策

 水槽飼育での発生(寄生)では、比較的早く見つけられると思いますから被害はそんなに多くないと思います。対処は早く行い大量発生の前に被害を抑えてくださいまた、魚の健康状態が良いと鱗のしまりが良いため固着寄生が少ないことも言えると思いますから健康管理と早期発見が必要です。外からの魚の導入には魚体をよく見てイカリムシの付着がないか確認し、魚は薬浴をしてから入れるようにする、できるだけ袋に入れて貰った水を家の水槽に入れないことなどです。

 室外で飼育している金魚や鯉では、春先に駆除薬(トリクロルホン)を散布するのがいいです。また、成虫が魚体に寄生している場合はピンセットなどを使用して丁寧に抜き取ってからその部分にマーキュロクロム等の消毒薬、細菌性に効果がある薬を塗布すると良いです。

 有機リン系殺虫剤(トリクロルホン)の他に効果的なものでは「デミリン」という薬品があります。デミリンは一回の投与で十分効果を発揮しますが低温水での効果はさほどでないようで、水温20度以上であれば、この薬は脱皮を阻害しますから成長する親虫も脱皮出来なくなり死亡し、効果を発揮します。
この薬は蚊や蠅の駆除に使用されおります。

二次感染

 比較的多く見られるのが、エロモナス菌の感染から穴あき病、松かさ病等です。

参考文献

トップページへ戻る