エロモナス感染症

エロモナス・ハイドロフィラ

運動性の活発な通性嫌気性菌です。酸素があってもなくても繁殖できる細菌で、ビブリオ科に属しており、【オキシターゼ陽性グラム陰性桿菌】という鑑別名がついています。Dr.ガレンによれば、エロモナス感染によるコイの死亡率は水温が3.9度では14%ですが水温21.1度では100%であるそうです。

この細菌の発育可能条件は菌によりかなり差がありますが、

 このように広範囲ですから観賞魚の飼育環境全てに出る可能性があります。つまりこの細菌からは逃れられないと言えますから適度におとなしくしてもらうのは魚体の状態を良くして発病しないようにするのが良いです。

 この細菌の感染からは急速な進行はあまりなくジワジワと進み、水量が多いほど伝染性は少なく、また日和見感染と言われ魚の抵抗力の弱い所から感染します。
健康的な魚では伝染性は割と低いです。
 エロモナス菌はどこにでもいて撲滅は無理とされております。つまり健康な魚体(健康な殆どの魚の腸内には運動性エロモナスが存在します。)や淡水、生物、ヘドロ、水中に落ちた枯葉等に居るので常在菌と言われています。強い菌が外部から魚体に入って発病する、体内の菌が異常増殖し発病する、また両方の因果関係でなると考えられています。

予防法

 水質をできるだけ良い状態にしておくのが一番ですが、それだけでは不十分で、アンモニアや亜硝酸塩が溜まらないように生物濾過を機能させて於いて下さい。イカリムシやウオジラミが発生した所では感染する可能性が高くなりますからトリクロルホンの殺虫剤や甲殻脱皮抑制剤のデミリンを使って速やかに除去し抗菌剤の塗布や薬浴をすると良いです。
 また、キドロネラやサイクロキータ(トリコディナ)の寄生がある場合には食塩水の薬浴や散布を行い駆除しておく必要があります。

症状の進行

 口の潰瘍、尾ぐされ、ヒレぐされ等が部分的に出てから全身感染の眼球突出や穴あき病、松かさ病と進む場合があります。初期的には魚は食欲もありますし動作や泳ぎも少し鈍いかなと感じる程度ですが体表や尾鰭でほんの少し盛り上がった状態になり、その部分が血で滲んだように赤色になります。表現では小さいニキビの先が赤くなる感じです。だんだんと動きが鈍くなって来て潰瘍からくる平行失調、エラが冒されてなる低酸素症、エロモナスからでる毒素による身体機能喪失からなる敗血症や内出血、腹膜炎、内臓の機能喪失等から死亡してしまいます。

対策

 米国では1989年まではテトラサイクリンを使っており、良く効いて居たそうですが、その年に大発生したものでは抑えられなかったそうです。耐性エロモナスの出現だったのです。
 合成抗菌剤のオキソリンサンで治療(薬浴)するのが良いです。薬浴では少しの塩を同時に入れて行うと良いでしょう。部分的な症状での局所治療(赤班がでている時)はメチレンブルー液、マラカイトグリーン液、過酸化水素(一番効くそうです)、マーキュロクロムでコイの場合は治ったケースがあります。
 エロモナス症状が2匹以上出た池や水槽では薬浴だけでは他の魚にも感染する場合がありますから水槽に薬剤散布を行って下さい

魚の免疫性

 コイや人はエロモナス菌に対して抗体を作ることはできません。しかし、毎年感染する魚もあれば一度感染したら掛からないものや一度も感染しないものもあります。その理由は解っておりません

 その他のエロモナス属では以下のものがありますが、治療はハイドロフィラと同
様の対処法で良いと思います。

エロモナス・プンクタータ
運動性の細菌で、ビブリオ科の一種で、グラム陰性の細菌です。
伝染性の腹水症がこの細菌でなると言われております。
エロモナス・サルモニシダ
非運動性のグラム陰性菌で、この菌の大きさは1〜2ミクロンです。発育適温は15度前後、31度では発育しない細菌ですが、最高34.5度まで存在していたと言う例もあります。適した環境はph6.8から8.0と観賞魚の飼育環境範囲に入っています。比較的低温域(15度)で活発であると言えます。が、適温が20〜25度であるものも存在しているようです。
金魚の穴あき病の主原因は「非定型のサルモニシダ」であることが発表されていいます。他の魚種も穴あき病はこの菌であると私は考えています。

参考文献

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