よしを’S質問箱
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Q259.ローレンツ式は可能か?
【愚父さんからの質問】
初めまして。ごく最近よしをさんのHP拝見しました。
 小生、仙台在住の小2の男の子の父親です。会社のパソコンでこっそり覗いたよしをさんの文章は説得的で、非常に論理的な文章に感銘を受け(特に業界批判などは社会的な発言として拡がりを持っていると思います)、各界に偉大な人は必ずいるんだなあと認識を新たにしている次第です。そしていま質問させていただける事をとてもありがたく思っています。
 さて、小生は実はアクアリストのビギナーでさえなく、ズボラなただの小2の男の子の父親です。愚息はTVゲームよりも虫や魚といった生き物が大好きで、毎週土日ともなれば必ず一緒に虫探しや魚採りに出かけております。魚といってもフナやクチボソといった雑魚なのですが、いままでは虫の飼育箱に水を入れて、コケだらけになっても結構飼えていたのですが、たまたまヤゴを飼ったときすぐ死んでしまい、これはやはり水の汚れのケアや酸素補給が必要なのだなと思ったわけです。たまたまそのとき知り合いから30・と60・水槽や簡易濾過器をもらったので、セットしたもののあんまり凝る気はなかったのです。ただ、水換えやフィルターの掃除は面倒くさいし、毎週毎週雑魚が増える(しかしなぜオイカワはすぐ死んでしまうのでしょうか?)ので困っていたのでした。
 そうこうしている内に、『BE-PAL』という雑誌の今年の4月号を偶然見かけ、「ローレンツ式アクアリウム」というものが存在することを知りました。「自然から採ってきたものはなるべく自然と同じ環境で飼うのが正しい」と思っている私は、この60・の箱の中に小さな自立的な生態系宇宙を創るという考えや「人間が外部から強制して生き物を生かしておくのは牢獄と同じだ」という思想に魅了され、かつ成功すれば水換えや外部濾過器も不要で、餌さえ与えなくてもすむかもしれないという、ズボラな私にはもってこいの内容だったのです。仮に失敗したとしても、外部フィルターを後から使えばいいのだという、今思えばかなりイージーな決断でした。
 長々と前置きしまして申し訳ありません。ここからがご相談です。以下に、事実経過と質問を書きます。アドバイスいただければありがたく存じます。
(1)ほぼ雑誌『BE-PAL』の内容通りに立ち上げました。
a.60・水槽に「パワーサンドS」を敷き、 b.「バイオコリンH3」と、製品名は忘れましたがもう一種類の粉末バクテリアを振りかけ(雑誌では『「バクター100」など』と書いてあったのですが店で見つけられなかったものですから)、 c.「O2ストーン」を埋め込み、 d.「アクアソイルーアマゾニア」をその上に敷きつめ、 e.「水物語」で中和した水をいれ、浮いたゴミを取り、 f.ヒーターを28℃にセットしました。
g.一週間後に店で「バクター100」を見つけ、水の中に振りかけました。
h.その後2週間、蒸発した水を補充しつつ、バクテリアが活性化するのを待ちました。
(2)a.水草を植えました。丈夫で安いやつと思い、以下の種類にしましたが、今思えば地下茎で増えるものが良かったなと反省してます。
ハイグロフィラ10本
ガボンバ10本
アナカリス5本
ウオータースプライト3本
アマゾンソード3本
アヌビアス・ナナ3株
ミクロソリウム1本
ウィローモス1塊
 b.このとき、迂闊にも「テトライニシャルスティック」を撒いてしまったのです!スティック状だったので、すぐ溶けるものとは思いませんでした。雑誌本文には撒くとは載ってなかったのですが、囲み記事の「揃えるもの」リストに載っていたものですから。それまでは、水の濁りはなかったと思います。
c.水の透明度を上げるため(と雑誌には書いてあった)、「テトラチウム」を入れました。
d.「水草の国のアリス活力剤」アンプルをセットしました。
e.照明(18W×1&10W×1、これも貰ったやつ)をセットしました。
f.発酵式CO2発生装置をセットしました。
g.直後2〜3日は24h照明し続け、1週間に1回1/3ほどの水換えをしつつ15hくらいの照明にして2週間、「イニシャルスティック」の茶色の濁りは消えませんでした。特にアズビアス・ナナの葉の上や石にテグスで巻いたウィローモスに粉末がのっている様子は泥だらけといった感じでした。
(ここまででだいたい2万5千円くらい使っています)
  結果、ウオータースプライトは1本だけ残りました。
ハイグロフィラ、ガボンバ、アナカリスは伸びすぎてカットしました。
アヌビアス・ナナは、枯色の葉が増え、成長が見られない感じです。
アマゾンソードも枯色の葉が増えました。ただ成長はしているようです。
(3)2週間後、黒い底土の表面に茶色の「イニシャルスティック」の粉末が堆積し、水を動かすと舞い上がるという状況でしたが、水草が育っていけば養分として吸収し、そのうち濁りは消えるだろうという楽観的な判断のもと、魚を入れました。コブナ、モツゴ、タモロコ、ヨシノボリで、計20匹ぐらいです。1週間に1回1/3ほどの水換えをしつつ、餌は1日1回乾燥イトミミズ、ミジンコ、金魚のエサなどを適当に与えました。一匹も死にませんでした。ここまで藻の発生はありませんでした。
(4)さらにその後3週間、1週間に1回1/3ほどの水換えはしていたのですが、葉の上の「イニシャルスティック」の粉末状の汚れは取れず、指で取っても汚れが舞い上がりしばらくするとまた葉の上に乗ってしまいます。黒い底土の表面に茶色の粉末が堆積し、水を動かすと舞い上がる状態は続き、透明なコロイド状(?)の汚れまで発生し始め、底土の表面や葉の上に沈殿している感じでした。そのせいか、アヌビアス・ナナは葉がどれも枯れてきているように見えました。少し藻も発生し始めました。そしてついにモツゴ二匹とヨシノボリ一匹が死んでしまいました。
 もう我慢しきれず、水をほとんど捨て、「アクアソイルーアマゾニア」(まだ粒状を保っています)を撹拌して粉末を底の方に持っていこうとしましたが、失敗して、水(と「テトラチウム」、「バイオコリンH3」カプセル)を入れるとまたすぐ底土の表面に茶色の粉末と透明なコロイド状(?)の汚れが堆積してしまいました。さらに、今度は何となく水全体が白濁しているように見えます。今はまだ、魚は戻しておりません。
 そして今朝ついに底床にミミズのようなものが何匹も発生していました!
 いまだ、よしをさんのHPのすべての文章は読みきってはいませんが、まずメールを差し上げてご回答を待つ間によしをさんのHPを読んで勉強しつつ、いろいろ試してみたいと思っています。

質問1.この失敗の原因はいったい何でしょうか?ニトロバクター属が繁殖するまでは、やはり濾過器をつけなければダメなのでしょうか?
質問2.「テトライニシャルスティック」の粉末はどのようにすれば排除できるのでしょうか?
やっぱ無理でしょうか?対症療法としてアクアソイルのうえに砂を撒いて舞い上がらないようにするという案はどうでしょうか?
質問3.そもそも「ローレンツ式アクアリウム」なるものは可能なのでしょうか?(よしをさんのHPを読んでいると不可能のような気がします。)

長いメールを最後まで読んでくださって、ありがとうございます。また、プロに対して超ど素人が、試行錯誤をスキップして安易に答だけを求めているようで心苦しくおもいます。たいへんなご多忙中であるとは存じますが、ぜひアドバイスいただければと存じます。

以上
A259.ローレンツ式?
”愚父”さんからは再度続きの投稿を頂きましたが、この質問の回答をすれば多くの疑問が解決しそうなので、今回はこの投稿にのみ回答させていただきます。

まずはイニシャルスティックは出来る限り水槽から出してしまった方が良いでしょう。
ホースで水槽の水を吸い出しながらホースの先端を底床ぎりぎりに持っていけば底床表面に溜まった汚れなどと一緒に溶けたイニシャルスティックの成分も吸い出せると思います。
出来る限り念入りにホースで吸い出して下さい。

ローレンツ式アクアリウムについてですが、詳しい理論は分かりませんがどうやら底床を利用してそこで硝化を行うというのが一番のポイントのように思います。

しかしながらその場合一番問題になってくるのは”底床の中を効率よく水が廻るか?”という問題です。
それを解決するために(合わせて好気性バクテリアを繁殖させるために)底床の中にO2ストーンを埋め込むのでしょう。

自然界の地中で行われる濾過を水槽でも再現しようと言う考えでしょうが、水槽には水がそれ以上進入することが出来ない”水槽の底”という物があります。
それによって自然界なら何十メートル何百メートルと水は地下を浸透することが出来ますが、水槽では数センチ進めばそれ以上に水は進むことが出来ません。

普通の装置を使う”ローレンツ式”と呼ばれるものでないアクアリウムでも基本的な考え方は自然界にある水を濾過する仕組みを水槽に再現しています。
と言うことはローレンツ式の特徴というのは電気的な装置を使わないというだけでしょうか?
水槽内の底床という場所を利用して水を濾過するという考え方は昔から底面フィルターという方法が存在します。
底床にO2ストーンをセットするという時点で底床に対して人為的な事を施しているのですから、ポンプで水を循環させるという人為的なことをするのと何ら変わらないように思います。

ということで、ローレンツ式を水槽で実践されるのであれば、まず底面濾過の水槽を一つ経験してみて、その延長としてローレンツ式をやってみることをお勧めします。

底床付近のミミズのような物は水ミミズなどと呼ばれている物で、多くの場合は水質が悪いと発生することが多いようです。


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