よしを’S質問箱
分類 @@#熱帯魚飼育#@@
Q12.白濁とバクテリアについて教えてください
【まつさんからの質問】
60cmを立ち上げて5週間が過ぎています。外部パワーフィルターを使っています(新規です)最初の2週間は怖くてパイロットフィッシュを何も入れずに水草だけにしました。 3週間目で藻類が大量に発生しましたので、仕方なくヤマトヌマエビを16匹入れました。この間、水換えは2、3日に一度1/3位ずつ行っています。アンモニアは全く検出されませんでした。
その数日後、今度は苔対策でオトシンクルスを3匹入れましたが、依然としてアンモニアは検出されません。白濁も消えません。
久しぶりによしをさんのページを拝見して、最初からパイロットフィッシュを入れて、バクテリアの餌を補給しないと、バクテリアは発生しない! と言う説明に絶句してしまいました。
そこで、他の水槽からネオンテトラを5匹投入し、ちょっと怖かったので同時にその古い方の水槽のエーハイム2224と交換しました。(後から考えると何をやってるんだかと思います) その後、ネオンテトラを14匹まで増やしましたが、 1度アンモニアが少し検出されてからすぐにそれも消え、亜硝酸が検出される事なく、1週間が立ちました。 
多分古い方の水槽から持ってきたフィルターに多少なりともバクテリアが(実はこちらのフィルターも1カ月位しか回していませんが)いたので、そのバクテリアで分解できない量のアンモニアが検出されただけで、後はバクテリアが増えて順調に回っているのかな?とも考えていますが、肝心の水の白濁が当初より全く変化がありません。
バクテリアの素なども使っていませんし、出来る限り、よしをさんのおっしゃる通りにやっているつもりですが、このままで劇的に白濁がなくなり、水が透明になるものでしょうか?バクテリアが正常に繁殖すれば水の白濁が消えると言うのは水槽の中にバクテリアがと言う事でしょうか?多分そうなのだと解釈していますが....。水槽の中とフィルターの中のバクテリアは同時発生ではないのでしょうか?途中でフィルターを変えてしまったのがまずかったかな? などとも考えていますが....。
いわゆる、バクテリア同士の喧嘩ですか....。 それで余計正常に繁殖するのが遅くなって....。
ちなみに、ご多分にもれず、最初の1週間は濾材に活性炭を使ってしまいました。やらない方がよい事は殆どやってしまった感があります。
現在はエーハイサブストとエーハイメックで2224を回しています。ちなみに、最初にセットしたフィルターの濾材はシポラックスを使っていますので、近いうちにそちらの水槽の魚達を新しい水槽に全部移し、シポラックスの入っているエーハイム2213をこの白濁水槽に追加して回そうと考えています。(2台直列ではなく、同時に)どの様にしたら白濁が消えるのでしょか? ご教授下さい!
なお、2224と2213(こちらはシポラックスのみにして)両方を使っても流量が多すぎる事はありませんか?(多いとは思いますが、弊害は?) 何としてもよしをさんの提唱するシポラックスの効果を見て見たいので(バイパスフィルターも試そうと思います)どうぞよろしくお願いします。
A12.濾過のできあがる段階
まず濾過の出来上がり方を考えると、その期間がいくつかの段階に分かれるように思います。
人間の身長や精神が成長する時期が段階に分かれてやってくるのと同じ様なものでしょうか。
私の今までの経験からその辺を考えると、大きく分けて次のような段階に分かれると思います。
  1. 立ち上げ初期
    アンモニアや亜硝酸を分解するバクテリアが存在しない、基本的には魚を飼育出来る環境ではない。
    人間の換水作業によってなんとか魚が生き延びている。
    よそから完成した濾過を持ってこない限り、通常は頑張ってこの期間を乗り切らなければ次の段階へ進めない。
    通常であれば水槽をセットした日から3週間〜1ヶ月経過まで。
  2. 濾過完成初期
    立ち上げ初期から1ヶ月程度経った状態で、いままで濃度が高かった亜硝酸が無くなりニトロバクター属のバクテリアが繁殖し始めた状態。
    技術集の濾過話基礎編ではこの状態で濾過の完成と表現しているが本当の意味ではまだ初期の状態。
    この段階ではじめて魚が生きていける水が水槽内でできあがる。
    ただしあくまで魚が死なないというレベル。
    水槽の変化(特に水草水槽にする場合など)はこれからようやく始まると言っても過言ではないでしょう。
    この時期から茶色い苔やアオミドロ、白濁(白濁に関しては立ち上げ初期からこの次期まで残るでしょう)、油膜が発生して「失敗したのでは?」とか「なにかいけないことをしたか?」と不安になったり、やり直しをしたくなりますが大丈夫です。
    もちろん初めから全然間違った方法をとっていれば別ですが、水槽の濾過についての基礎知識を理解してちゃんと対処していれば全く問題のない状況です。
    それらは全て途中段階として通過する必要のある状況であり、むしろ第2期に入った証拠と考えて良いでしょう。
    この時期ではまだまだ、水槽内の生態系としてはほんの初期の段階を通り抜けたに過ぎません、水槽内の状況はまだまだ安定した状態に成っていない状態です、安定した水槽ではバクテリアによる食物連鎖が10段階あると仮定して、この段階ではアンモニアを亜硝酸にして亜硝酸を硝酸塩にする3段階しか出来ていないような状況とお考え頂ければ良いでしょう。
  3. 濾過成熟期
    時期的には立ち上げ初期から考えて4ヶ月〜6ヶ月以上経った濾過の状況。
    濾過完成期に残った問題が徐々に解消されたり少なくなったりする。
    その変化は立ち上げ初期から濾過完成初期の様な劇的なものではなく長い時間をかけてゆっくりと変化し、その変化の速度は成熟が進むにつれて遅くなる。
    「何の試薬で判定してどのぐらい熟成しているか」とか「なんという種類のバクテリアが発生するか?」といった事では計り知れない微妙な成長が複雑に絡み合って熟成されると思います。
    この成熟期のピークでその水槽の完成した生態系ができあがると思います。
    もちろん濾材の量や質濾過の仕組みによって違ってくるでしょうが、立ち上げ初期からの基本的な換水などのメンテナンスが適切だったかどうかによって、どのぐらい高い地点でピークを迎えられるかが違ってくると思います。
  4. 濾過老化期
    わ〜を!ナイスシャレ!!
    うそうそ(^^;)、濾過熟成期のピークを通りすぎ濾材が汚れて濾過が機能しなくなっていく期間。
    個人的には物理濾過がどれだけちゃんとされるかによって、かなり老化の始まりとその速度は変わってくると思う。
    水槽内の吸い込み口にP1やP2のスポンジフィルターを付けて、それを定期的(2週間や一ヶ月で一度)に洗浄している場合などは、半年や一年経ってもまだピンピンしている事も多い。
    この時期が来ると濾材の洗浄や交換などを行う。
    いかに上手くメンテナンスして濾過完成初期ではなく濾過成熟期の中期あたりへ戻してやるかがテクニック。

ということで、まつさんの水槽では今まさに濾過完成初期に至ったばかりなんじゃないかと思います。
自信をもってこれからも1〜2回/週のこまめなメンテナンスを維持していけば大丈夫だと思います。

濾過器を既に完成している水槽から持ってくるというのは正解ですし、良くやります。それによって立ち上げ初期をパスしていきなり濾過完成初期に至るわけです。
ただ今回の場合は濾過器を丸ごと交換されていますから、古い方の水槽の濾過はどうなったの?とちょっと心配になりますが・・・・そういった時には濾材の半分を古い水槽から持ってきて使ったりすることが多いです。

バクテリアは主に底床や濾過器内の濾材等に発生し、水槽水の中にはそれほど存在しないと聞いたことがあります。
底床なのか濾材なのか、成長期はどのぐらいなのかによってそこに住み着くバクテリアの種類と数は刻々と変化しているんだと思います。
それらの要因が複雑に変化しながら(ピークを迎えるまでは)最後の安定した状態に少しづつ近づいて行くんだと思います。

最後に2213と2224の並列稼働の件ですが、特に問題は無いと思いますよ、ただ強すぎる水流はレイアウトするときに邪魔になったり魚が休む場所が無くなったりする可能性がありますから、パイプを分岐したり色々して水流を上手く処理してやる必要が有ると思います。

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