よしを’S濾過話

私が今まで色々なところで得た情報と、自分の経験等を元に濾過に関するノウハウをまとめてみました。
ここでの内容は原則淡水水槽が対象の話と受け取ってください。私は海水分かりませんので(^^;)
それからここの内容は全て私の私見であり、間違いも多々有るかと思いますがもし「そりゃ変だぞ!」という内容が有ればどんどんご意見くださいませ。

  1. 日本ショット社
    日本ショット社とはアクアリウムの濾材としては有名な「シポラックス」の販売もとである。
    「シポラックス」とはアクアリウム向けの商品名であり工業向けの商品名は「SIRANリング」といいます。
    「SIRANリング」は工業界で濾過や発酵をする課程で使われるもので、その能力は工業界で証明されています、わけの分からん石を砕いたり小さな工場で焼いて作った陶器に比べれば値段は高くとも信頼できる濾材だと思います。
    スペースシャトルに乗った鯉の水槽の濾過もショット社のスペシャル濾材だそうです。
    そのSIRANリング販売の日本法人である日本ショット社と、とあるきっかけでパソコン通信の仲間達と勉強会の機会がありそこで色々な情報を得ることが出来ました。
    日本ショット社での勉強会ではショット本社の研究部門でのテストデータ等を含めて濾過のノウハウを教えて頂きました。
    これからの話はその勉強会での話をまとめた物です。
  2. 生物濾過
    現在のアクアリウムでは物理濾過と生物濾過が行われることは常識ですが、生物濾過といっても今ではまだアンモニア→亜硝酸→硝酸塩という好気性濾過バクテリアによる好気性生物濾過のみを生物濾過としてとらえられているが、それは生物濾過の第1段にしか過ぎず、これからの濾過では硝酸塩を分解する嫌気性濾過バクテリアによる嫌気性生物濾過を考えるべきです。
  3. 好気性生物濾過
    好気性生物濾過の場合は通常の熱帯魚水槽の水温さえ保たれていれば流速や流量バクテリアの住処等、どのような環境でも水槽の水が触れていれば行われる生物濾過です。
    どちらかと言えば水さえ通っていればかなり広い条件で行われる濾過だと思います。
  4. 嫌気性生物濾過
    今までは毒性の少なくなった硝酸塩まで分解されれば、後は草が一部吸収する以外は換水によって水槽から排除するしかないと言われていた硝酸塩を分解する濾過です。
    好気性生物濾過と同様環境さえ整えれば、原則バクテリアの元やバクテリアの餌は必要有りません。
    好気性濾過細菌に比べて嫌気性濾過細菌はかなり厳しい条件下でなければ繁殖しません、従って環境を整える一環として嫌気性バクテリアの活動が良くなるためのある種のアルコール類を餌として与える場合も有ります。
    必要な環境としてはその名の通り酸素が無い事です、そのために意図的によどみを作るのですが、意図せず底床によどみが出来た場合を想像しても分かるように一歩間違えれば単なる腐敗です・・(^^;)
    尚、環境を整えても濾過細菌が繁殖するまでの期間は好気性濾過細菌よりもずっとかかるとのことです。

嫌気性濾過の実施方法

  1. バイパスフィルターを用いる方法
    嫌気性濾過を実施するのにもっともよく知られている方法で、バイパスフィルターと呼ばれる特殊な濾過経路を増設する方法です。
    左の図のように通常のパワーフィルターの排水経路にバイパスする経路を設けそちら側に流れる水量を極端に絞りバイパスフィルター内の状態を嫌気性に保つものです。
  2. 上部濾過でも出来る嫌気性濾過の方法
    これはショット社で教えてもらった方法ですが比較的大型の濾材が水に浸かっているタイプの(ウエット性の)上部濾過装置の場合の一部に左図のように水の流れが滞るようにプラスチックの板などで一部分のみ開いている囲いを設けるだけで嫌気性濾過が実現できたりするそうです。
  3. パワーフィルター内に嫌気部分を作る。
    これはその応用編で私が考えた方法であるが小型のタッパで200cc程度の容量の物に上下5mm程度の穴をあけその中にシポラックスなどの濾材を入れ、その容器ごとパワーフィルターの濾材の中に入れると、パワーフィルターの中で流れの良い部分と流れの遅い部分に分かれるようになる。
    こうすることによってパワーフィルターの内部で好気性濾過と嫌気性濾過のダブル濾過がされると思うんですが、どうでしょうか・・・
    ちなみにこの方法の実績は・・有りません(^^;)
    しかしながら海外の製品の投げ込み式濾過装置などはその内部に嫌気性濾過を狙ったような区画が作ってあったりするそうですから結構この方法も使えると思うんですが・・

嫌気性濾過とシポラックス
さて、ここまで説明してきた嫌気性濾過ですが市販の濾材で意識することなくその効果が得られる可能性がある濾材が有ります、それがシポラックスです。
シポラックスはその構造が連続した多孔質であるのが特徴です。
濾材の世界ではその表見がミクロのサイズででこぼこしていて表面積がいくら広いかがよく話題になりますが、シポラックスは、その表面積の広さの他に連続した多孔質という特徴を持っています。
この特徴が何を意味するかは、これまでの嫌気性濾過の図を思い出して頂ければ分かると思いますが、洞窟(連続した多多孔質)の入り口では好気性濾過が行われ、その課程で好気性濾過細菌によって酸素が消費されます。
その後さらに洞窟を奥へ進んだ水は進めば進むほど溶存酸素量が減少して行き、最後には嫌気性濾過細菌が好む環境になります。
ということで、濾材の表面から奥へ進むにつれて徐々に嫌気性濾過がされるというわけです。
好気性濾過のみを考えるとコストパフォーマンスでは他の濾材の方が良い物がありますが、前述の嫌気性濾過のための仕組みや装置を用いることなく無意識に嫌気性濾過が実施される(可能性のある)濾材がシポラックスです。

私の濾過理論
好気性濾過が行われるのは水槽の全水量が1時間に0.5循環〜50循環程度で実施されます。
たとえば50Lの水量の水槽ならパワーフィルターのポンプの能力が25L/時間〜2500L/時間であれば良いということになります、これは水族館の水槽から池の濾過でも同じ事が言えるらしいです。
しかしながらシポラックスなどのそのままの構造で嫌気性濾過が期待できる濾材で嫌気性細菌の活動をより利用するためには0.5循環〜5循環程度に押さえられている状態でなるべく長く濾材に触れさせるようにする必要があると思います。

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