外部式拡散筒


はじめに

ここで紹介している自作作業をする場合特別な資格が必要だったり、又は素人工事をすることによって起きた事故(水漏れや漏電、火災など)については火災保険等の保証外になるようなケースもある事をはじめにお知らせしておきます。

ここで紹介している自作を実施される場合はそういったことを十分理解して、安全性の確認は十分行われることをお勧めします。
もちろんここで紹介しているものの安全性や機能を私は何ら保証いたしません。
ここの情報をごらんになって実施される場合はご自分の責任で実施してください。


今回は水槽周りの自作としては比較的簡単でそれでいて上手くいったときの達成感の大きい自作外部式拡散筒の作り方を説明します。
ただし、水圧がかかる器具であること、その上CO2ホースが外れただけで水漏れ事故につながるなど思った以上にリスクが高い自作器具であることも併せてお知らせしておきます。
もちろん画像でもわかるとおり市販品よりは見た目がきれいでありません、そういったことをあわせて考えると自作がよほど得意か、または自作した器具を使用することに楽しみを感じるような自作派以外の人には市販品の購入をお勧めします。

ちなみに市販品を購入するなら今回の自作のモデルとしていますジャレコの外部式拡散筒がお勧めです。

構造及び完成イメージ

これが外部式拡散筒の構造をイメージ化したものです。
パワーフィルタから水槽に水が戻される途中に設置します。
パワーフィルタから送られてきた水は拡散筒の中のシャワーパイプにより拡散筒内で渦巻き状の流れを作ります。
拡散筒の底部に設置したCO2ストーンにより渦巻き状の流れの中にCO2が添加されます。
渦巻き状の水は拡散筒の底部から排水部のパイプを通って拡散筒から出ていきます。

これが完成品です。
今回は台所用の保存容器の中でも比較的大きなものを選んで作ってみました。
容量が大きければそれだけ溶解能力が高くなります。
私が使ったものは容量が3Lほどのガラス瓶のものでしたが60cm水槽で使う程度なら500cc程度の容量のもので十分です。


材料

まずは本体になる台所用品です。
本体部分はガラスでもプラスチックでも材質は問いません。
ふたがプラスチック製で穴をあけたりできる材質であればOKです。
できるならば本体とふたの部分の締め付けがしっかりしているものを選んだ方がいいでしょう。
またふたの材質もあまり堅いプラスチックの場合加工中に割れてしまうこともあるので、柔らかくて加工しやすい材質もののを探せばいいでしょう。

自作時の基本ともいえるシリコンボンドです。
パッキンまわりの隙間を接着したりします。

13mmの水道配管パイプとそのエンドキャップです。

同じく13mmのねじ込み式ジョイント(L字型)です。
これは2組必要です。
そのほかアクアリウム用のエアホースとエアホースジョイント、パッキン部分を自作するために薄型のゴム板も必要です。


作り方

まずはふたの加工です。
この自作はふたの加工がすべてです、慎重に行いましょう。
ふたには2カ所13mmのねじ込みジョイントが通る穴をあけます。
私はドリルで穴をあけた後にリーマーを使って穴を広げましたが、熱したドライバーなどで少しずつプラスチックを溶かして穴をあけてもOKです。
大きな穴2カ所があいたらエアホースを接続する小さな穴2カ所をあけます。

エアホースを接続する方の穴にはエアホースジョイントを中から差し込み内側でシリコンボンドによる接着をしておきます。

ジョイントに丁度合うサイズのパッキンをゴム板を切り作成しジョイントに挟んで蓋に取り付けます。
ジョイントの途中に穴をあけそこにエアホースジョイントを差し込み接着し、蓋にあけた2個の小さな穴の一方(CO2引き込み出使用する側でない方)をエアホースで接続します。
これはエア抜き(後述)になります。

どうも台所用品のこういった容器は密閉があまりよくないものが多いです。
私が使った容器もパッキン部分に硬質のプラスチックでできたパッキンが使われていましたが、それをはずしてゴム板を切ってぴったり合うパッキンを作りました。
念のためパッキンは蓋の方にシリコンボンドで接着しました。

CO2を引き込む側のホースを長く取り付け蓋の加工は完成です。

蓋のジョイント部分に取り付ける2本のパイプです。
一本はエンドキャップを取り付けパイプの横部分に穴をあけシャワーパイプ状態にします。
私はドリルを使ってあけましたが熱したドライバやキリでも穴をあけられるでしょう。
もう一本のパイプはエンドキャップも加工の穴もなしでただの筒状態です。

上の2本のパイプを蓋のジョイントに取り付けCO2の引き込み部分の先端には熔解率を上げるためにCO2ストーンを取り付けておきます。

エーハイムのホースを接続するなら水道配管用の13mmパイプでは接続できませんから水道配管用塩ビパイプとエーハイムパイプとの連結を参考にしてエーハイムパイプを取り付けます。

この状態でしっかりと蓋をしてパワーフィルタからのホースを拡散筒のシャワーパイプのほうに接続しもう一方にホースを接続して水槽に導きます。
CO2引き込み用ホースにCO2を接続して呼び水をしてパワーフィルタの電源を入れれば運転開始です。

最後に水漏れが無いか厳重にチェックしてください。


最後に今回の一つのポイントであるエア抜き用バルブの説明です。
ご存じの通り外部式拡散筒というのは水槽内に設置するCO2ストーンやジャレコのCO2ミスティー、ADAのパレングラスなどと違って添加するCO2のすべてを水に溶かしてしまって、気泡のまま水面にCO2が達して逃げてしまうということが全く無い拡散システムです。

そのためCO2は一旦拡散筒の内部に貯まってそれが送られてくる水によって溶かされるという形態になります。
必然的に添加しすぎたCO2や運転初期の拡散筒内の空気、それからCO2ボンベの中に極微量含まれているCO2以外の不溶解ガスが拡散通の中に貯まります。

通常こういった拡散筒を自作した場合それらの余分な空気を抜くには拡散筒本体を逆さまにしてエアをつくというのが一般的ですが、ホースの取り回しなどが邪魔になりますから、今回はエア抜き用の経路を作っておくことにしました。

余談ですが外部式拡散筒を自作される中には排水側のパイプの上部に穴をあけたり排水側のパイプを短くしてガスが貯まらないようにしている場合もあるようですが、それだと外部式拡散筒の本来の働きであるCO2ガスを溜め込んで熔解させるという働きが無くなってしまうのであまり意味が無くなってしまいます。

エア抜き用経路といってもそれほど大したものではありません。
先の製作段階で排水側のジョイント部分に穴をあけて蓋にあけた小さな穴とエアホースで接続したそれがエア抜き用経路です。
通常時は写真のようにダブルクリップで挟んでおけば経路が閉鎖されています。
エアを抜くときだけクリップを外せばエアが全部抜けます。

構造図の赤丸部分がエア抜き用の経路になります。
市販されているジャレコの製品は蓋の中にこういったエア抜き用経路が作ってあり、蓋の上にあるボタンを押せばバルブが開いてエアが抜けるようになっているらしいです。

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