フサタヌキモ 
Utricularia minor L.

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 日本固有のフサタヌキモの自生地は、従来岩手県の一戸のみとされていたようですが、以下に紹介するのは、96年9月に秋田県で新たに見つかった「フサタヌキモ」です。発見者は秋田在住の知人・佐々木喜久氏です。
 このフサタヌキモは大変興味深い特徴を持っています。草体はかなり大きく大型のタヌキモと同じ程度あります。大きな特徴は他のタヌキモ類と比べて草体が非常にしなやかで、かつ、葉を指で触っても感触がないくらいの柔らかさです。草体自体が柔らかなため、(穂先の重さのせいだと思いますが)穂先がすべて水底を向いていて、お辞儀をしたような格好で水中を浮遊しています。

フサタヌキモの特徴として、閉鎖花と捕虫嚢が極めて少ないこ_とがあげられますが、これにもう一つ、ほかのタヌキモと比べて極めて柔軟である、ということがいえるようです。

 捕虫嚢のつき方は、同地域(秋田県)で採取されたタヌキモと比較しても圧倒的に少なく、葉の付け根付近に若干(2−4個)見られる程度ですが、これも必ずあるということではなく無い方が多いようです。ただし、数少ない捕虫嚢ですが捕虫嚢自体は決して貧弱ではなく、むしろ一つ一つは大きくしっかりしています。またフサタヌキモの特徴である閉鎖花は明確に見ることができました。


(写真8)秋田の自生地(97/10/23)

谷間の溜め池で見つかったフサタヌキモの自生地。溜め池の岸辺に密集している。

密集しているフサタヌキモ



(写真7)春を迎えたフサタヌキモ。97/3/15

3月中旬(東京)。 殖芽の直径は約5-8mm位でほぼ球形をしている。すでに頂からは新しい葉がわずかに展開しはじめた。 冬の間は頂芽部分を残してすべて枯れて水中に沈んでいた。頂芽の色は冬の間は茶色っぽい小さな球茎であったが 暖かくなるとともに緑色に変わってきた。
 3月に入っても、相変わらず殖芽は水底にへばりついているが、球の緑色が濃くなり、ややふっくらしてきた。 水温も上がってきたので、まもなく殖芽は少しずつ大きくなって浮上してくるかもしれない。

(写真1)フサタヌキモの頂芽付近

ほかのタヌキモたちより大きめの緑色の球茎をしている。 右下に閉鎖花が写っている。

(写真2)フサタヌキモの頂芽付近

写真がよくないが、頂芽はフサフサした葉の中心に埋もれている。


(写真3)フサタヌキモの頂芽

合しっかりした固まりになっていて、やがて葉が展開してくる。

(写真4)フサタヌキモの閉鎖花

この写真の閉鎖花は、主茎より1cm以下の曲がった柄の先についている。 閉鎖花のつく茎は主茎より細く葉柄が分岐する根本から発生している。球の直径は約1.5mm。


(写真5)フサタヌキモの葉のつき方 -1-

写真ではよく見えないが、捕虫嚢が葉の付け根付近に数個ある。葉は基部で2−3面に分かれている。羽片の先端に小さな刺が2〜3有り。


(写真6)フサタヌキモの葉のつき方 -2-

葉は水中では綺麗に展開しているが、 水からあげると柔らかすぎて べたっと一本の棒状になる(写真 右)。

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