「パイロット・フィッシュ」
読み:”ぱいろっと・ふぃっしゅ”
「スターティング・フィッシュ」
読み:”すたーてぃんぐ・ふぃっしゅ”

解説

水槽の新規立ち上げ時など、水質が安定しているか、または魚を飼育する環境となっているか、確認するためにとりあえず泳がせてみる魚のこと。テスト・フィッシュとも言う。丈夫で安価な「アカヒレ」が、いちばんのお薦めではあるが、なんか殺すことを前提にしているようで心苦しいものがあることも否めない。

水槽を新規立ち上げするとき、アンモニア等の有害な排泄物が水槽に存在しないとそれを分解するための濾過バクテリアは発生しない。
とはいえ濾過バクテリアの発生していない水槽に魚を飼うと、その魚は濾過されない(アンモニアなどの有害物質の中で)飼われることとなる。

結局人間がかなりの頻度で換水し致命傷とならない程度のアンモニアや亜硝酸濃度に保ちながら濾過バクテリアの発生を待つこととなる。

水槽のこの危険な期間を過ごしてくれる魚をパイロットフィッシュと呼ぶ。

尚、パイロットフィッシュは魚の名前や種類ではない。
ショップに行ってパイロットフィッシュ下さいと言えば適当に見繕ってくれなくはないだろうが、その言い方は間違いである。

どんな魚でもパイロットフィッシュになりうるが劣悪な水質の中で飼われても大丈夫なように安い魚を選ぶべきである。
安い魚を選ぶというのはけっして”死なれても懐が痛まない”ようにという意味ではなく、安い魚=供給の多い魚=(養殖などで)丈夫な魚ということである。

海水魚飼育書などを読みふけった初心者が、とりつかれたようにこの言葉を口にする。

淡水魚の何十倍も値段の張る海水魚の購入には、度胸がいるのだ。
特に初心者は何を飼ったらいいのか良く分からない状況に陥ることが多い。
本来は、自分の飼いたい魚を飼えばいいのだが、どうやら海水魚の世界はチョット違うようだ。
いきなり1万円するチョウチョウウオを買って、1週間で死んでしまったら、魚が死んだショックより、経済的なショックの方が大きく、動物を大切にする心や、本来の目的であるストレス解消なんてすぐに吹っ飛んでしまう。

そこで、生まれた言葉がスターティングフィッシュだ。一般的に初心者にも飼いやすい魚で、水槽立ち上げ時に適した魚という見方があるが、実はそうでもない。
はっきり言ってしまえば、すぐ死んでも、あまり経済的な打撃を与えない魚ということだ。コバルトスズメなどをスターティングフィッシュとして紹介しているアホな飼育書をみると腹が立つ。
60センチ水槽に5匹くらい入れておけば、どんなに水が良くても奴らのもつ本能故、殺し合うのである。そして傷ついて最後に残った一匹も死んでしまうので、従順な初心者達は、濾過に原因があるのでは、phがどうのこうのと悩んでしまう、いわゆる悪循環に陥る。

基本は、気に入った魚がいたら経済的に許す範囲で飼ってみることだ。特に水槽立ち上げ時はトラブルが多い。
愛着のもてる魚を一匹〜2匹だけ水槽に入れてみて様子をみる。そして水ができるまで我慢する。スターティングフィッシュとは、一緒に我慢のできる魚と言いたい。

解説者:AKIBA(秋葉 義夫)、よしを、MC−IWA

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