誰にでも使えるパソコン

皆さんは今、このページをパソコンでご覧になっているでしょうか?
最近はテレビや家庭用ゲーム機でインターネットを見られるようになったので、そういった装置を介してこのページを見ている方も居るでしょうが、たぶんまだ今のところ(98年10月現在)ではパソコンを使って見られている人の方が多いでしょう。

最近のパソコンは本当に簡単になりましたが、それでもインターネットに接続するためには何らかのプログラムを追加したりプロバイダへの電話番号を設定したりと機械に疎い方にはハードルが高いようです。

ほんの数年前パソコンメーカーや家電量販店などが新製品のパソコンをこぞって「このパソコンは簡単」とか「これなら誰にでも使える」という売り込み文句で大量にパソコンを販売しました。
しかし、やっぱりいくら簡単とはいえビデオの予約録画をするにも苦労するような機械に疎い方にとってはとても使いこなせる物ではなく、結局「簡単」とか「誰にでも使える」という売り文句が購入者を裏切る結果となったのです。

そういった事態がしばらく続いた頃消費者側から徐々に「『簡単』と言っていたのに簡単でない」とか「『誰にでも使える』と言われたのに、さっぱり使えない」という苦情も出だし、結果パソコンメーカーやメーカーのセールストークにそのままつきあった量販店が、それぞれ信頼を失う結果となりちょっとした社会問題にもなりました。

結局、その後パソコンメーカーや販売店は「簡単」とか「誰にでも使える」といった表現を改め、”パソコンを設置し使うにはそれなりの知識や慣れが必要”といった感じの捉え方に変わりました。
それに従ってメーカーも販売店も電話によるサポートやパソコンが使いこなせるようになるための講習会などを準備し対応するようになりました。(サポートや講習には有償の場合と無償の場合両方が有るようですが)
ようするに、これまでの「取り敢えず売れればそれで良い」という営業方針から、”売った物はきちんと活用してもらって良さを分かってもらう所までがメーカーの責任”と変わってきたようですね。
そうしなければ”買い換え”という次のビジネスチャンスの目を自らつみ取ってしまうことにもなりますからね。

さて長々とアクアリウムに関係のない話をしてきましたが、ここでアクアリウム業界に目を転じると・・
まだまだ有りますねぇ・・

「これを使うと1週間でpHが6.0になり、その後1ヶ月ほどでpH6.5になります。」とか、さもこれを使うだけで綺麗な水槽になるような説明書きを沢山見かけます。

最近のパソコンは確かに簡単になりました、でもそれはパソコンを使いこなせる人から見ての事であって全く何も知らない人にとってはやはり難しい事であるのです。
アクアリウム用品も発達し昔よりも良い製品が色々と販売されているようですが、それをメーカーが予想したとおりにきちんと使いこなせるのは、やはりそれなりにアクアリウムの知識が無ければ不可能である場合も少なくないようです。

自社の製品を使っても上手く行かない場合があるとか、場合によっては使用に向かないとか、使用する量も多くの量をドバドバ使わせるような指導ではなく、状況を見ながら少しずつ使う事を勧めるとか、そもそも使う必要が無いケースはきちんと「こういう場合は使う必要が無い」と指導するようにして欲しいです。

たとえば濾過が機能していて水もそれほど汚れていない水槽に化学濾過剤を投入しても悪戯に水槽内で化学反応を起こして、不安定な状況に陥ったりするでしょう。

営利目的で営業しているのに自社製品を手に持ってレジに向かおうとしている消費者に「貴方の水槽はこれを使うような状況ではありません」というのは非常に難しい事かもしれませんが、アクアリウム業界も「売れればいい」という営業方針から「売った物はきちんと活用してもらって良さを分かってもらう所までが売り手側の責任」というふうに考えを変えてほしいものです。


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