メディアに注意(2004/09/18記)

今年(2004年)の夏は台風の来襲が多いですよね。

しかし、台風中継の現地リポーターってどうしてどの局もああなんでしょうか?
必ずカッパを着てヘルメットをかぶりマイク片手に中継。
まさに嵐の中であるときには「立っているのがやっとです」と言いながら悲惨な状態を演出し、逆に風も雨も穏やかな時は、さも申し訳無さそうに、でも少しでもネタに成りそうなことがあれば、それこそ「先ほどすぐそこでおばあさんが転んでいました」というような事まで(例えばそれが、ただ転んだだけであろうとも)リポートする。

バラエティー番組の寸劇ならば大いにそうして、リポーターはこれでもかというほど悲惨な目に遭っていただきたいものだが、ニュース番組としてはどうだろう?
我々が知りたいのは台風の状況や被害状況なのであって、リポーターが横殴りの雨に打たれて悲惨な状態をわざわざ作り出してそれを放送する意味って何?
しかもその様な状態では雨に打たれて映像も乱れ、雨や風の音でリポーターの声はかき消され、さらにそれに対抗するかのようにリポーターはがなりたてながら数十秒の中継を行う。
きっと中継が終わったらすぐに建物の中や車の中に戻り、次の中継時間まではタバコでも吸いながら「まったくやってられないよ」とか愚痴を漏らしているのだろうと思うと、テレビ局のスタッフがそこまでして我々に伝えるものは一体なんなのかと疑問に思う。

もしその様な不必要な演出の為に、本当にリポーターに風で飛んできた物がぶつかって怪我をしたりしたら、バラエティー番組の撮影で出演者に怪我をさせて騒ぎになるのと、まったく同じ問題に発展すると思うのですが、その辺の事は製作スタッフは考えているのでしょうか?

私は現地の風や雨の映像は必要だと思いますが、カメラのみを安全な場所を確保した上で撮影してその映像にスタジオ内に居るアナウンサーが適切な説明を入れればそれで十分だと思います。
その方が音声も画像もまともなものが放送できますし、よっぽどニュースとして適切だと思います。

ニュースといえば最近は下火になりましたが、一時期の三菱自動車の袋叩き状態についてもうんざりしました。

確かに三菱自動車は消費者の信頼を裏切ったのですから社会的制裁は受けるべきでしょう。

しかし、日本中を走っている車を対象に考えれば三菱以外のメーカーの車だって数日に1台ぐらいは故障で火災を起しているだろう事は、まともな大人なら察しが付きます。

車両の専門家も製造後長い年月が経過している自動車は、メーカーに関わらず故障の結果として火災が起こる場合も有ると言っておりますし、我々だって常識的にそういう事だって有るという事は分かります。

なのに、三菱車が路上で何か起こると、さも大々的に報じた後に必ず「尚、この車はリコールの対象車種ではありませんでした」という様な、リコール問題と三菱車のトラブルをなんでもかんでも、関連性を連想させたり、さらなるリコール問題に成るのではないかというような想像を起させるような煽動的な解説が入ります。

私などはそのうちニュースで「今日未明、関越自動車道下り線花園インター付近で、埼玉県の会社員が運転するRV車がパンクの為走行不可能となり路肩に停車するという事件が起こりました。
埼玉県高速機動隊の報告によりますと今日午前2時30分頃、同会社員が所有する三菱パジェロを運転中、ハンドルにるれを感じて路肩に停車した所左前輪がパンクしていたという事です。
尚、この三菱パジェロはリコールの対象車でしたが3週間前に修理を行っていたとの事です。」なんて内容まで放送するんじゃないかと思うぐらいエスカレートしていると感じました。

逆にニュース番組も視聴者がそういう話題に飽きたのを理解したのか、三菱車炎上のニュースは見かけなくなりましたが、これはニュース番組で取り上げなくなっただけで、今日も何処かで三菱車やその他のメーカーの車の火災が起きている事と思います。

ニュース番組でさえこの状態ですから、日本のテレビやマスコミは所詮視聴率やスポンサーの意見、はたまたマスコミそのものや系列の企業に有利なように放送したり、マインドコントロールとまでは行かないにしろ視聴者や民衆の意識を特定の方向に向けたり、特定の思想に誘導したりする事をしていると考えても間違いではないでしょう。

最近大騒ぎになっているプロ野球の合併や1リーグ制の問題も、根本にはこれまでテレビやマスコミが日本人に対して行ってきた思想誘導による業界全体の歪みがそもそもの原因だと私は思います。

日本のプロ野球界とマスコミはこれまで、プロ野球を庶民に浸透させる為、手っ取り早く視聴率や広告費を稼ぐ為に、特定のチームにファンが集中するように意図的に組織の運営や報道・放送を特定のチームに有利なように行ってきたのです。

情報量が少ない昭和の中頃では効率よく話題を盛り上げるには、あるヒーローを仕立て上げるのが常套手段でした。
普通にプロレスを話題にするよりは力道山のような国民全体が応援するようなヒーローを一人作った方が、民衆の中で話題と成り易いですし、プロレスを観戦したりそのテレビ中継を見たいと思う欲求は高まります。

プロ野球もその手法を用いて、巨人戦だけはどの地方局でも中継をし、アナウンサーも巨人に偏った放送をして、日本全国に巨人ファンを作り「野球は巨人」という状態にしたのです。
その目論見はずばり的中して昭和の間は子供達は屋外での遊びといえば野球をして、お父さんは家に帰ったらテレビで巨人戦を見るのが、日本人全体の娯楽だったのです。
プロ野球界や、それを放送するテレビ局も順風満帆だったでしょう。

しかし時代は変りました。
子供達の遊びは変化し、空き地で子供達が遊ぶとしても野球は数ある空き地での遊びの中の一つにしか過ぎないようになったのです。
(空き地で遊ぶ事自体無くなりつつありますが)

その様な状況でもまだ野球界は旧態依然として特定のチームに偏った状況を続けようとしています。
そのおかげで興行収入や財政状態や在籍選手の技術レベルは明らかにチーム間の格差が大きくなり、その結果民衆はゲームを見たりペナントレースを応援する楽しさを感じなくなりつつあるのです。

プロスポーツというのは地域に属している場合が多いです。
そうする事によって民衆は地元のチームをひいきにして応援するのです。
そうであるからこそ、色々なチームがほぼ均等にファンを獲得し、収入やチーム力に均衡が図られ、面白いゲームを見せる事が出来、ファンもその事によって盛り上がるのです。

そのような歪が問題の根源であるという事に気付かず、いまだに某テレビ局の巨人中継は、アナウンサーや解説者の言葉が嫌になるほど巨人に偏っています。

「よし行け〜」「あ〜残念」という言葉を叫ぶのはテレビの前に居る視聴者の件利です。
アナウンサーや解説者が言う必要は有りません。
そんな事を言う事によってテレビの前に居る巨人と対戦している相手チームのファンが「よし行け〜」「あ〜残念」と叫ぶ権利を迫害しているのです
言い換えるならば巨人ファン以外の野球ファンを否定しているのです。

その様にわざとゆがんだ構造で成長させた業界がまともに存続して行くはずは有りません。
巨人以外の、特に巨人と試合の無いパリーグの球団が成り立たなくなるのは当然でしょう。
さらに、その様な状況が原因で経済的に球団の経営が出来なくなり合併せざるを得なくなったものを、オーナー会やファンやマスコミがどうしてとやかく言う権利が有るのでしょうか?

「合併反対」と叫んでいるファンは、私には倒産する会社の前で「倒産反対」と叫ぶのと何ら変らないと思います。
カネボウの社員が「倒産反対」と言いながらストをする事が想像できるでしょうか?

もうそろそろプロ野球のオーナーさんたちも、選手達もマスコミもファンも、みんな何処に問題が有って、それをどう修正しなければ成り立たないか気がつくべきです。

今回は、というか今回も、まったくアクアリウムと関係の無い話で終始しましたが、私が言いたいのは、テレビやニュースでさえこの様に、まったく公平公正ではないのです。
一説によりますと最も公平な情報ソースはインターネットにある個人サイトだという見方もあるようです。
「だから私のホームページの内容は信用できる」とは言いませんが、今は昭和の中頃のように公平公正でないメディアに半ば騙されていたとしても、国民みんなが幸せに成れる時代ではありません。

メーカーにしろショップにしろ、書籍にしろテレビや新聞にしろ、全て営利目的に存在すると言う事を忘れずに、そういったところから入手した情報や、それらの人が薦めるものを自分としてどう判断するか常に意識する事が大事かと思います。

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