思い通りにならない水槽(2002/08/18記)
最近の日本の社会問題として「キレる若者」「歯止めの効かない子供」等という事が取りざたされ、テレビではどこかの先生やコメンテイターがああだこうだと言っておりますが、私はこれらに関しては原因はただ一つ、親のしつけが成っていなかったからだと思っています。
以下によくあるケースを挙げてみますが、小学生の子供をお持ちの親御さんはご自分達の行動と照らし合わせて検証してみてください。
子供「ねぇ、お母さんテレビゲームやって良いでしょ、やりたいんだ、やらせてぇ〜」
お母さん「さっきまでやってたじゃないの、しょうがないわねぇ・・、じゃあと30分だけよ」
子供「は〜ぃ」
(30分経過)
お母さん「30分経ったわよ、やめなさい」
子供「え〜、分かってるけど今セーブできないから止められないんだ」
(結果、ずるずると1時間以上ゲームは続けられる・・・)
以上のようなパターンは非常によく見受けられる事で、一見ちょっとした甘やかしであるだけで、そこに大きな問題があると思っているような親はほとんど居ないでしょう。
何が問題なのでしょうか?
答えは簡単です。
”子供の希望は叶えられ、親との約束は不履行に終わる”
こういった、子供にとってとても都合の良い経験を知らず知らずのうちに与えてしまっているのです。
子供は学習能力が有ります、どのようにすれば希望が叶えられるか、その方策を色々と考えるでしょう。
そして希望が手に入ったときに次に考えるのは、その為の対価をどのようにして支払わないで済ませるかという事でしょう。
世の中とは便利なものでテレビゲーム機の電源部分に接続して施錠出来る操作パネルから通電時間をタイマー設定して、時間が経過したら無常にもゲーム機の電源が切れてしまうという優れた装置もあるようですが、どうも日本人の親には「そのような事までして・・」という意識が強いのか、その優れものの装置もゲームに没頭しそうな年代の子供の居る家庭に行っても見た事が無い事から、ほとんど普及していないと思われます。
もし私に今そのぐらいの年頃の子供が居たならば、必ずその装置を使うでしょう。
さらにゲームが出来る時間数をチケットにした上で1か月分のゲーム時間を月単位に支給して、ゲームをやらせると思います。
支給されたその日に徹夜でゲームを行ってすぐに使い果たしてしまうも良し、毎日少しずつ使って楽しむも良し、または普段はあまり使わないように節約して夏休みなどの期間に溜め込んだ権利を行使して楽しむも良し・・
本人の権利なのだから使い方は自由にさせ口出しはしない、そのかわり使い果たしてしまってもそれは本人の選択したやり方であるので、チケットが無くなればゲームが出来なくても我慢させる。
ルールを守る事、人間には有利な権利だけでなく義務も有る事を教えて自立した人間にしつける為にもそのぐらいの事は是非ともやるべきなのではないでしょうか?
しかしながら、そのような特異な教育をしている家庭は少なく、さらに家で親とゲームをやっているとき負けそうになっても、子供達は泣くか機嫌が悪くなるか、またはゲーム盤をひっくり返してしまえば、自分の負けは帳消しに出来るような家庭ばかりです。
親もそのような事が起こっても仕方がないなぁと許してくれたり、おまけして勝たせてくれたりするでしょう。
結果的に子供はどのように育つかといえば、自分の希望した事は何でもかなう、希望した事を叶える為に我慢したり苦労したりする必要も無い、それが世の中であると間違った認識を持ってしまう。
まあ、そのような間違った認識を持ったまま育っても、ずっとそれがその通りなら大きな問題にはならないでしょう。
しかし、世の中そういう認識を持った子供が沢山存在すれば、そういう子供同士が集団生活や社会生活をともにして行かなければならないわけで、そうなって初めて自分の思い通りにならない事に遭遇する、しかしそんな事が有ると知らない子供達は、どうにかして自分の思い通りに成るようにしようと思います。
その結果友達を刃物で傷つけたり、まわりに居る大人に対して凶暴な行動に出たりするのでしょう。
私が子供の頃は万が一親がそのような社会適応性を教育してくれなかったとしても、大概の子供は地域のガキ大将グループで遊ぶのが常で、その中に居れば
- 人の家の庭に飛び込んでしまったボールを取らせてもらうにはどうすれば良いかといった社交性とか
- 人様の家の柿の木やイチジクの木から果実をしっけいしてお腹を満たすという、食糧確保のための生命力とか(をいをい)
- ひとの家の呼び鈴を鳴らして逃げる(今で言う”ピンポンダッシュ”)という犯罪娯楽システムとか
その他公共の場には書けないような色々な事を教えてくれたものでした。
そんな中で、皆で5円づつ出しあって買ったお菓子を年端の行っている大将クラスの人間がごっそり持っていってしまい、小さな自分には一切れしかもらえない、なんとも理不尽な世界や、一緒にピンポンダッシュしても自分だけ逃げるのが遅く、ついに被害者宅の大人につかまってしまい、こっぴどくしかられてしまったりといった、辛い経験や悲しい思いを沢山したものでした。
そして早く強くなって自分もお菓子を沢山ぶん取れるように成ろうとか、自転車ではぐれないように補助輪を外してみんなと同じ速さで走りたいとか、立小便をするときにお尻まで出してするのはみんなに笑われるから、お尻を出さずに格好良く立小便をしようとか・・・
色々と努力したりして向上心は尽きなかったものです。
残念ながら現代の日本ではそのような経験が出来る可能性はほとんどゼロに近いでしょう。
特に都会ではそうです。
子供達は最も仲の良い遊び相手は両親であり、その次に仲の良い遊び相手は幼稚園や小学校の同級生で、遊び場はその同級生のうちの誰かの家の部屋の中であり、遊ぶ方法といえば親から認められた害や危険の無い遊びだけです。
なんと最近の子供はピンポンダッシュをするのも自分の家に対してやるそうです。
そこまでゆがんだ調教をされているんですよね。
一番の遊び相手の両親は甘やかす一方で負ける事、我慢する事、義務を果たすこと、世の中には理不尽な事が有るという事など、本当に必要な事は何も教えてくれません。
そうやって育った人間がまともな協調性を持った立派な大人に育つとはとても思えません。
またもや今回もアクアリウムにはまったく関係のない風刺のような内容になってしまいましたが、
だから私は言いたい!
世の中の日本人はもっと成長の過程でアクアリウムをやり、命の尊さや自然の大切さなどと共に、自分の非力さや思い通りに成らない事への対応方法などを勉強し、水槽と共に人間としてもバランスのとれた人間に成長してほしいと思います。
小学校・中学校・高校・大学、全ての教育の課程でアクアリウムを必須科目としても良いのではないでしょうか?
ガキ大将グループに代わって多くの大切な事を水槽は教えてくれると思います。
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